第六章 第拾五話 夕闇が隠すとき(15) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「如何?」


「・・・構いませんよ。それでは・・・」


灯りが微かに灯る部屋で彰子は政子に短く返事をつげると

ちらりと隣に座っている景時へ視線を向けた。


しかし、特に何も言う事がないのか

そのまま部屋を後にした。


「・・・・あれは、使えるのか?」


杯に口をつけながら、様子をじっと見ていた

頼朝は政子に訪ねた。


「ふふふ・・・・心配なさらないで、あなた」


何が面白いのか分らないが、楽しそうに頼朝に寄り添い

部屋から出て行った彰子を見送りながら

景時へ視線を向けた。


「・・・・・あなたはまだ、こちらにいらっしゃいな」


「・・・・・・・・御意・・・・・・」


出番はまだなのだから・・と笑い告げる政子の視線から

逃げるように景時は視線を外し小さく唇をかみ締めた。