「如何?」
「・・・構いませんよ。それでは・・・」
灯りが微かに灯る部屋で彰子は政子に短く返事をつげると
ちらりと隣に座っている景時へ視線を向けた。
しかし、特に何も言う事がないのか
そのまま部屋を後にした。
「・・・・あれは、使えるのか?」
杯に口をつけながら、様子をじっと見ていた
頼朝は政子に訪ねた。
「ふふふ・・・・心配なさらないで、あなた」
何が面白いのか分らないが、楽しそうに頼朝に寄り添い
部屋から出て行った彰子を見送りながら
景時へ視線を向けた。
「・・・・・あなたはまだ、こちらにいらっしゃいな」
「・・・・・・・・御意・・・・・・」
出番はまだなのだから・・と笑い告げる政子の視線から
逃げるように景時は視線を外し小さく唇をかみ締めた。