「・・・・・・・」
「朔?」
ぼんやりと雨を眺めていた朔に譲は不思議そうに声をかけた。
しかし朔に譲の声は届いてない。
「朔、どうしたんだ?」
「譲殿・・」
肩をゆすり名を呼ぶと、ようやく居たことに気がついたのか
いつもと同じように笑みを落とし見つめる姿に胸が痛んだ。
(なんだ・・・)
「譲殿?」
「あ、いや・・こんな所にいたら風邪をひいてしまいますよ」
振り続ける雨を眺めていた所為なのか、朔の着物が若干
水分を含んでいて、譲は持っていた肩掛けを朔に着けさせた。
「・・・・ありがとう・・」
「いえ・・いいんです」
不意に目が合い、お互い何も言葉を告げず見つめあい
そして、どちらともなく唇を合わせた。
**
「譲殿・・」
「・・・・・・」
まだ部屋の外は雨の音が聞こえる。
部屋の中は薄暗くお互いの温もりを感じながら名を呼び
熱に浮かされ甘ったるい空気が流れていた。
「私・・・」
「大丈夫」
「譲殿・・」
「わかっている」
見上げる朔の頬を撫でながら額に唇を落とし
呟くとそのまま形のいい唇に自分の唇を合わせる。
「ふっ・・ん・・ん・・・」
鼻から漏れる声を聞きながら少しひんやりとした手の平で
朔の身体を滑らせると、ビクンと身体を反らし反応する姿に目を細め
微笑む譲に、朔は少し頬を赤らめ視線から逃げるように横を向いた。
「どうした?」
「案外意地悪なのね」
「そう?」
「そう・・・よ・・」
言いながら、首筋に唇を寄せて吸い付く。
チクリと微かな痛みを感じながら、譲を見上げるといつもの穏やかな
彼とは違う、瞳の奥から見え隠れする激しいまでの雄の香り。
その瞳が自分に向けられているのだと思うと
朔は嬉しさを覚えた。
彼の見つめる先にはいつも望美がいたから。
彼の思い人は彼女だとわかっていた。
それなのに、彼は今自分に欲情しているのだ。
「譲・・・・」
名を呼び、顔を上げた彼の首に手を回し少し身体を浮かせ
彼の唇に自分の唇を合わせる。
朔の行動に一瞬驚いたが、譲もそれを受け入れ
咥内に舌を差し入れ絡ませた。
「んっ・・・」
太陽の光が顔にあたり目を覚まし
身体を起こすと、そこに譲の姿はなく朔は身体を起こした。
「夢・・・」
そう思ったが、身体に残るのは気だるい感覚。
そして――
「もう・・・ずるい・・わ」
置かれたいた手紙。
読んだ瞬間、朔の瞳から涙が零れた。
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あとがき
初ですね~。そして書いていて恥ずかしい(/ω\)
譲×朔です。
この二人も結構好きなのでくっつけてみました。
意外?
意外じゃないよね。
危なく18禁突入しそうだったのでやめました。
この組み合わせは時々書いてみようかな?