過去からの記憶 | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

置いていかないで。



私を一人にしないで ―――。



過去の私が愛しい人に告げる言葉。

それは切なくて苦しい。



「・・・・・・・・」





「ぼんやりしている」





「怖いから」





「なんで?僕が居るのに?」





「   が居るけど怖いの」



俯く私をあなたはそっと抱きしめ

少し困った口調で話す。



「仕方ないな   は」



「だって・・・・」



























「咲弥さん」


聞こえた声に、意識が浮上する。


「弁慶・・・くん」


「魘されてましたよ」


そっと髪を撫でられ、頬に触れる手の温もりに

さっき見た夢が混同し思わず弁慶に抱きついた。


「咲弥さん?」


名前を呼ばれるが返事を返すことが出来ず

ただ黙ったまま、弁慶にしがみついた。


「怖くないですよ。僕が居るから」

「なんで、僕がいるのに?」


弁慶の声と夢の彼の声が重なる。


「本当に?」


「君が嫌だと言っても僕はあなたの傍に居ます」


言葉と同時に抱きしめる腕が強くなった気がした、と咲弥は思った。










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あとがき


こちらは『運命の迷宮』へ続く一部のお話。

誰なのかは、これからわかりますが、おそらく皆さんは

夢の彼が誰なのかわかりますよね。


ひねりがなくてすみません。