謝罪と感謝をあなたへ | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

人とはいつも変わらない顔を持つ者だ




「鬼は、情すら利用した」




謝罪と感謝をあなたへ






知らなかった――。


あの鵺が頼久のかけがえなき友人だったのだと。

その繋がりを知った鬼が彼に鵺を差し向けたこと。



「今は・・・・見ないでください・・」



あの日、自分を迎えに来てくれた頼久の様子がおかしかった。

気になったけれど、己の胸に引き寄せて告げた声は

微かに震えていて、だけどその事を訊くことができず

ずるずると日が経っていて・・・・。



「神子殿?」


「・・・・・ごめんなさい」


「如何なさいました、神子殿?」


俯いて謝罪の言葉を告げるあかねに戸惑いが隠せない。

はらりと零れる涙に、焦りが生じて思わず抱きしめる。


「頼久・・・さん・・・」


「神子殿・・・どうか、泣かないでください・・・私は・・」


ぎゅっと頼久の背中に手を回すあかねを安心させるかのように

顔を上げさせると、不意に額に落ちる暖かい感触。


「頼・・・久・・・さん」


「も、申し訳ありません。神子殿・・しかし、神子殿が泣いてしまわれるのは」


キスをしたことの謝罪なのか、それとも抱きしめたことの謝罪なのかわからない

だけど顔を上げると眉を下げ心配そうに見つめる頼久の姿が

あの時と重なり、あかねはもう一度「ごめんなさい」と告げた。


「・・・神子殿、私に謝ることはありません。私は神子殿を守る盾です。

その様な言葉は」


「そんな事ない」


ブンブンと首を横に振り、ぎゅっと頼久の着物の袖を掴むと

口を開いた。


「あの・・・鵺・・・は」


「神子殿?」


「お友達だったのでしょう?」


あかねの口からでた言葉に、頼久は目を大きく見開く。

彼女に知られまいとしていたのに、

彼女はいつの間に知ってしまったのだろうか。


「・・・あの・・・通りかかって・・・あの・・」


おそらく顔に出ていたのだろう。

申し訳なさそうに話すあかねに、頼久はそっと顔を見つめ

涙を指で拭うと、優しく微笑んだ。


「いいのです、神子殿」


「そん・・な・・」


「鵺もそう思ってくれます」


「あの娘を守るのだろう」


あの日、彼は微笑んでいた。


「お前は強くなった」


抱きとめた腕の中で自分を見つめ嬉しそうな顔で

幸せそうな顔で告げたあの言葉。


「私も後悔はしてません」


「頼久さん」


「鵺の魂は私の胸の中で生き続けてます」


そう思えたのは、あなたのおかげなのだ。と

頼久はそっと呟きあかねを抱きしめた。















■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

あとがき

久しぶりに、『遙か』の漫画を読んで

鵺のお話を書きたくなったのですが、こんな書き方しか出来なかった(TωT)

もう少し、上手ならよかったのにぃ~~。


今度リベンジして別のお話を書きます。