第六章 第八話 夕闇が隠したもの(8) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「あなた・・・平知盛・・・」


「知盛・・・?・・・いえ・・・・私は銀(しろがね)と申します」


「・・銀・・さん・・・?」


「銀とお呼び下さいませ。神子様」


耳に届く声、微笑む姿は『彼』と同じなのに・・

他の人を見ても驚いているのがわかる。


唯一代わらないのは咲弥だけ。


望美には、もうどの道を選んでいるのかわからない。

こんな展開など知らないのだ。


「神子様」


「将臣、咲弥」


そんな中不意に聞えた声に振り返ると九郎が眉間に皺を寄せて

将臣と咲弥、二人をじっと見ている。


「・・・・・お前・・・平家の人間だったのか・・」


「それが今の現状の意味があるの?」


「お前・・っ!」


「私は言ったわ。『正義は立場が変わったら正義ではない』と」


空気が変化し九郎を見つめるその視線。

それは間違いなく戦場で見た姫軍師そのもの。


「平家も源氏も今は関係ないわ。この場をどう逃げ切るかを考えなければいけない」


違う?と逆に訊ねられ返事を返せない。


「・・・奥州・・藤原・・・・・御館に要請をしてます」


「弁慶?」


微かな沈黙の後、弁慶からでた言葉に九郎は

不思議そうに声をかけた。


「彰子さんが我々の時に現れたときから、僕達のところに

監視がついてました」


「な・・っ!」


「調べていたのは、僕達・・・神子の行動でしょう?それと・・」


「彼女は、『怨霊を動かすもの』」


弁慶の言葉をつなぐように発したのは咲弥。


「お前と怨霊を操る女の関係は?」


「無いわ」


「おい」


「わからないのよ。どうして彼女が彼のことを知っているのかも」


どうしてなのかわからない。と首を横に振り考え込んだ。




その姿をじっと銀が見つめていることも知らずに・・・。