ぼんやりと景色を眺めていた。
ただなんとなく。ぼんやりと
手をつないでいた日々が懐かしくて、けれどそれは遠い過去の遺物。
微笑みはなくなり、そばにいることが苦しくて
二人の間に見えない壁が見え始めたとき
離れることを決意した――――。
それを許すことはあなたはできず
私はあなたから逃げることもほかの道を進むこともできず。
そして
私はぼんやりと景色を眺めている。
「私はどこへ行けばいいの・・・・?」
「では、望むか」
突然聞こえた声は私の脳を直撃し
「その願い叶えよう」
告げられた言葉は甘くてゆるく私を縛りつける。
「そのかわり条件がある」
どんな条件でもかまわない。
私がこの世界で存在しなければかまわない。
あの人の手の届かない場所へ行けるのなら何でもいい。
「では、願いをかなえよう」
声と同時に意識が遠のく――。
閉じる瞳
重くなる体
けれど
私は笑っていた・・・・・・。