超えてはいけないこの境界線だけは(13) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

高城家―――――。

古くから玉依りの血を引く一族を支えてきた。

天野家と同じように高千穂家を守るために存在する一族であった。

血の濃さを残すため、幾度と無く近親婚を続けてきた一族は

ある時、高千穂家当主を遙かにしのぐ力を用いて生まれた子供が誕生する。


「我が一族こそ、玉依りの血筋と並びうる存在である」


高らかに宣言し、当時の玉依姫の夫とし君臨すると告げたのだ。

カミの血を引く姫の一族と結ばれ、人を弓引くと宣言した高城家。

その一族を当時の玉依姫や守護五家が許すはずも無く、

戦いは壮絶を極めた。










「そして、かの一族は筆頭家からはずされ。この村を追放された」


「その一族の末裔だというのか?」


「それは、断言できないわ。私も高城家の事は詳しく知らない、文献に残されているだけよ」


真緒は、ゆるく首を振って答えるにとどまる。


「・・・・・でも、あの人が本当に高城家の人だとしても・・・」


陸は言いにくそうに言葉を重ねる。

運ばれてきた紅茶に手を伸ばし、一口飲むと小さく息をついた。


「わかっているよ」


亮司はそれ以上の言葉を告げることなく、珠洲の居る部屋へと足を向けた。

かちゃりと扉を開くと、先ほどより落ち着いた様子で眠っている珠洲の姿が映し出された。


(わかっている・・・・。これは僕の憶測だ)


だけど・・・。と思う。

明らかに彼は何かを知っているように見えた。

一瞬だか彼は、珠洲に何かを語りかけたように写った。

そして背中に感じた視線に気配。




「・・・うじ・・さん」


「珠洲・・・・?」


空中をさまよう手を掴み、名前を呼ぶと安心するのか

胸を撫で下ろし笑みを落とす珠洲の姿に

亮司も表情が和らぐ。


「君を、守るよ。どんな事があっても」








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あとがき

対決に近づきました!!