高城家―――――。
古くから玉依りの血を引く一族を支えてきた。
天野家と同じように高千穂家を守るために存在する一族であった。
血の濃さを残すため、幾度と無く近親婚を続けてきた一族は
ある時、高千穂家当主を遙かにしのぐ力を用いて生まれた子供が誕生する。
「我が一族こそ、玉依りの血筋と並びうる存在である」
高らかに宣言し、当時の玉依姫の夫とし君臨すると告げたのだ。
カミの血を引く姫の一族と結ばれ、人を弓引くと宣言した高城家。
その一族を当時の玉依姫や守護五家が許すはずも無く、
戦いは壮絶を極めた。
「そして、かの一族は筆頭家からはずされ。この村を追放された」
「その一族の末裔だというのか?」
「それは、断言できないわ。私も高城家の事は詳しく知らない、文献に残されているだけよ」
真緒は、ゆるく首を振って答えるにとどまる。
「・・・・・でも、あの人が本当に高城家の人だとしても・・・」
陸は言いにくそうに言葉を重ねる。
運ばれてきた紅茶に手を伸ばし、一口飲むと小さく息をついた。
「わかっているよ」
亮司はそれ以上の言葉を告げることなく、珠洲の居る部屋へと足を向けた。
かちゃりと扉を開くと、先ほどより落ち着いた様子で眠っている珠洲の姿が映し出された。
(わかっている・・・・。これは僕の憶測だ)
だけど・・・。と思う。
明らかに彼は何かを知っているように見えた。
一瞬だか彼は、珠洲に何かを語りかけたように写った。
そして背中に感じた視線に気配。
「・・・うじ・・さん」
「珠洲・・・・?」
空中をさまよう手を掴み、名前を呼ぶと安心するのか
胸を撫で下ろし笑みを落とす珠洲の姿に
亮司も表情が和らぐ。
「君を、守るよ。どんな事があっても」
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あとがき
対決に近づきました!!