体が震える――――。
どうしようもなく切なくて。
心が痛い――――。
わけも無く涙があふれてくる。
「なんで・・・・・?」
わからない。自分がわからない。
どうしてしまったのだろうか。
心が震える 体が震える。
漏れる声を両手で覆い必死に堪える。
どうしたというのだろうか。
わかっているのだ。
理由も
原因も
けれど認めたくないのかもしれない。
認めてしまったら、もう止める術がないから・・・。
止められない感情を吐露してしまうから。
苦しい心を必死に押さえ込む。
「まだ大丈夫。大丈夫なのよ」
「どうしました?」
顔を合わせてすぐに私の顔を覗き込むように八戒は尋ね見つめる。
彼の言葉に残りの三人も私へ視線を向ける。
「何も無いわよ」
「そうですか・・・?」
まだ言いたげな彼に、もう一度優しく笑みを落とす。
本当は気がついているのかもしれない。
私の心を知っているのかもしれない。
けれど彼らが土足で私の心に入り込もうとすることは無く。
三蔵はすぐに自分の手にしている新聞へ視線を戻す。
悟浄はタバコに手を伸ばし、何も言わず煙を吐いた。
「なあ?お腹でも痛いのか?」
「違うわ。大丈夫よ」
告げる私にいつもの満面な笑顔を見せてくれる悟空につられて私も笑顔を見せた。
「ふん・・・。なら、そうして笑っているんだな」
「あっら~。三蔵様優しい~~~」
「殺すぞ」
視線を新聞へ向けたまま私に告げる三蔵に悟浄が茶々を居れ
いつもの台詞を返す。
「ありがとう」
窓から入り込む朝の光を眺め私は呟く。
「咲弥・・・・」
誰かが私の名前を呼ぶ、けれど私は大丈夫なの。
どんな未来が待っていようと
どれほどの別れが待ち受けていようと
選んだのは私。
望んだのは私。
私は私を後悔しないから。
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あとがき
短編の最遊記はおそらく初!ですよね。
誰もが弱い気持ちを持っていると思います。
そんな気持ちを書いてみました。