第五章 第伍話 海の闇(5) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「どう思います?姫軍師」




熊野から戻ってきてすぐに聞かされた戦の報告。


福原へ攻め入る源氏の動向。




「情報が足りない。もう少し欲しいわ」




「御意」




頭を下げると経正は、腰を上げ部屋から出て行く。


残ったのは将臣と咲弥。




「将臣はどう思う?」




「源氏の動きにしては、今までとは違うからな」




腕を組み、部屋に広げられている地図を見つめ答える。




「動いたか・・・・。熊野が」




「まさか・・・。熊野は【どこにも組しないと】」




「【熊野】は、でしょ?水軍が動かなくとも、別当が動いたのかも知れないわね」




「熊野別当が・・・。マジかよ・・」




「一人ならば、【熊野】ではないわ」




咲弥は、じっと地図を見つめたまま返し、外套と深々とかぶると立ち上がる。




「どこへ行く」




「時間は、あまりなさそうね。まずは本陣へ。そこで一手を考えるわ」




「それでどうかしら?」と笑い返事を求める咲弥に


将臣は面白いといわんばかりに立ち上がると声を上げる。




「おい!出るぞ!支度を急げ!」






















平家、源氏。


双方の運命が始まる合図でもある。