出会う強敵の者(7) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「もはや、この命など必要ない!」


「ヤメロって!」


ドクリ、ドクリ・・・・


『悟能』


八戒の脳裏に木霊する過去の記憶。


『悟能聞いて・・・このお腹の中には
あの汚らわしい化け物の子供がいるのだから・・・』


ポタリ・・・・・ポタリ・・・・
血が広がる
アレはなんだろう・・・・
血が見える・・・


『華喃!!』


「やめ!!!」


八百鼡の首にナイフが刺さろうとした瞬間


「来るよ・・・・・」


「咲弥・・・・」


聞こえた咲弥の声、瞬間八百鼡の声が響く
突風が彼女を包み込んだのだ。


「守りし大気、元の緩やかな風となれ」


言葉に反応したのか、四人を取り巻いていた風が払われる。


「「「「咲弥!」」」」


「上、見て」


屋根を指差す咲弥の方向をみると八百鼡を抱き上げている人物


「「紅孩児(様)」」


咲弥と八百鼡がその人物の名を呼ぶ
始めてみるその人物に、四人に緊張が走る。


「三蔵一行だな」


((((この男が))))


「――――我が部下を引き取りに来た
用件はそれだけだ
貴様らとはいずれ又会うだろう
その時まで、命を大事にしておくことだな」


言いたいことだけを告げて去っていこうとした紅孩児だったが
四人より少しはなれたところに居る咲弥に気がつく。


「神子か・・・・まさか、こちらへ光臨していたとは
それも、三蔵一行と共にいることも驚きだ」


「・・・・・」


「神子が光臨しようとも、俺の邪魔するなら
その命戴く・・・」


「貴方は無理よ・・・・・」


ぴんと張り詰めた空気があたりを包む


「今日は、戦うためには来ていない」


「ええ、貴方の部下に伝えて
死に急ぐことは美学じゃない」


「言われずとも」


張り詰めた空気の中八百鼡共々去っていこうとした。


「――――待てよ!!せっかく来たんだから
エンリョしねーで遊んで行けって!!」


如意捧を出し、一直線に紅孩児へ攻撃を仕掛ける悟空


「開(かい)」


紅孩児は左手を悟空へむけ呪文を発すると
渦を巻いたような妖気を悟空めがけて放つ
まともに受けた攻撃に悟空は勢いそのまま地面に叩きつけられる。


「だッ・・・・あぁアあ!!」


「悟空・・・!!」


「チィ!」


悟浄が杓丈を紅孩児めがけて放つ
しかしその攻撃も安々と受け止めてしまうのだ。


「子供だましだな」


ゾクリ


桁違いの強さに悟浄は背筋を凍らせる。


「俺の番か?」


攻撃を仕掛けてこない、悟浄に今度は紅孩児は呪文を唱え
その攻撃を止めようと八戒が防御壁で応戦するが
彼の攻撃に力が押される。


「神子よ・・・・こんなヤツらと共に歩むのが
お前の望みか?」


「そこまでだ」


カチャリ


いつの間にか屋根まで上ってきた三蔵に後ろを銃で向けられている。


「・・・・・よく登って来たな」


「おかげで服が汚れた」


「ずい分と派手な挨拶をどーも」


「そんな銃(もん)じゃ俺は殺せん」


「それくらい見てりゃわかるよ――――あんたには
聞きたいことが山程あるんだ。王子様」


「生憎だが日を改めてでなおすとしよう
この界隈で戦うと民家を巻き込みかねん」


紅孩児はちらりと三蔵へ視線を向けた。


「今迄の部下の非礼は詫びておこう
―――だが、貴様らが我々の計画を阻む限り
必ず貴様らを抹消させてもらう」


「人づきあいは苦手なんでな
手短に願いたいもんだ」


「同感だ・・・神子
お前も同じなのか?」


「・・・・地を乱すものは何であれ」


真っ向から向き合う二人にただならぬ空気を四人は感じ取った
紅孩児が去った後
三蔵は、咲弥のところへ歩み寄る。


「・・・・そろそろ、約束を果たしてもらおうか?」


「いいよ」


つむぐ言葉は、遙かなる時空を超えた話になる。











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あとがき

次回はヒロインについて少し語ります。