飲み比べは両者四人でになる。
一緒に飲んでいたであろう四人を飛は選んでいた
ちなみに、三蔵たちも咲弥を除く四人で飛たちの相手をはじめている
飲み始めてすでに二時間が経過
店のお酒が彼ら八人の前に空となって転がっている。
「・・・・口だけじゃねーようだな」
「こんくらい何だよ
こっちゃまだまだ余裕だぜェ
なあ・・・ごく」
悟浄が椅子に手をかけ悟空をみると
彼はテーブルに頭をうつぶせになって寝ていた。
「そのガキは、リタイアの様だな」
「そっちこそ、てめェ以外全滅じゃねェか」
「残念だな
俺はこの辺じゃ、飲み比べは負けたこたァねーんだよ」
「じゃあ、どうせだから
もう少し高いお酒くださーい」
店主に声をかける八戒に飛も三蔵も悟浄も目を見開く
それは咲弥も同じだったようで
驚きのあまり言葉を失っている。
「・・・・そーいえば俺、八戒が
酔ったところみたことナッシング」
「あなどれねー」
「心配ないですよ
多分僕勝ちますんで」
ぼっそと八百鼡に聞こえるように八戒は話す。
「セクハラおじさんは許せませんもんね」
優しげな笑顔に八百鼡は自分が百眼魔王のところへ
売られようとしたとき止めて
自分の手元に置いた紅孩児のことを思い出していた。
命はないと諦めたとき
手を差し伸べてくれた暖かな光。
(私の命はあの日から
紅孩児様と共にあるはず
任務を遂行しなければ――――
何を躊躇っているの?
この男達は敵なのよ。紅孩児様の敵は
私の敵)
(やはり・・・だめなの?八百鼡さん)
ぎゅっと目を閉じ、自分の思いにふけている彼女を
咲弥は悲しそうに見て考える
恐らく、そろそろ事が動くだろう。
「咲弥?どうしました?」
「なんでもない。それより、三蔵大丈夫かな?」
「おい、どうした坊主?
そろそろ限界か?手が震えているぞ
その女顔じゃ、お酌役がお似合いだぜ」
ひゃひゃひゃと笑う飛の言葉に肩を振るわせる三蔵
いつもはそんな言い方に何らかの返事をするはずなのに
何もこたえることをしない。
いや、ぶつぶつとかなり小さい声だが
何かを言っている。
「三蔵?」
「ちょっと三蔵?へい・・」
「愚か者が・・・俺を愚弄するとはいい度胸だ」
「三蔵?」
「さ、三蔵?ねえ・・・」
聞こえてきた言葉に咲弥と八戒は顔を見合す。
「魔界天・・・」
「わー――――!民間人相手に
イキナリそんな大技かまさないでくださいっ!」
「酔ってんの!?」
慌てて三蔵の口を八戒が押さえ
始めてみる三蔵の醜態に咲弥も呆れ顔だ。
「まだるっこしい勝負はヤメだ!ヤメ!
力でツブしてやらぁ
若造共!!」
「望むところだァ
エロジジイ!やってやろうじゃねえか!!」
突然席を立った飛たちに中指を立てて返す悟浄
再び、乱闘が始まりそうな予感の中
この場を治めようとした八戒と咲弥は
急に部屋に立ち込める霧に気がついた。
「――――クソッ!頭が急に」
「目の前が・・・・暗く・・・?」
「「この霧吸っちゃ駄目(です)!!」」
咲弥と八戒は叫ぶが、すでに遅かったのか
三蔵と悟浄、他にいた酒屋の客が次々倒れていく。
八戒は慌てて倒れこんできた悟浄を起こすが
身体に異常はなく正常に呼吸をしている。
「これは・・・・」
「眠り薬ね・・・・私たち、彼女にしてやられた様子よ」
「そう、安心してください。今のは彼女が言ったとおり
睡眠薬です
一般人を巻き込むわけにはいきませんから」
「あなたが・・・」
聞こえてきた声に、八戒は目を細め見つめる。