「どうしたの?」
「・・・・叱られたの・・・・お母さんに」
必死に涙を堪えて我慢していた幼いあなた。
あなたと出会ったのは、小さく
それでもあなたは必死に何かを我慢していた。
感情を見せてはならないと言われ続け
他人に悟られないよう、ひっそりと境内の隅で隠れて泣いていた姿を見た瞬間
体の中に何かが駆け巡った。
――守りたい――
そんな感情が沸いたのも、あなたに出会う事がなければ
湧き上がらなかった感情。
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「亮司さん」
月日が流れて、可愛かった君は美しく成長を遂げて
僕に微笑みかける。
いつの頃からだろうか?君を見守っているだけでは満足できなくなってきたのは。
「いくぞ、珠洲」
「晶っ!待ってよ。それじゃ、亮司さん」
「気をつけて」
僕の言葉に、ぺこりと頭を下げて重森くんの後を追うあなたの姿。
追いついたあなたは嬉しそうに彼に微笑みかけて
思わず目をそらした。
あなたはこれからの運命を知らない。
それはあなたの守護者である彼も。
本当のことを知ったとき、君はまた泣くのだろうか?
誰にも悟られることなくひっそりと涙を流すのだろうか。
「僕が、君をこの宿命から解放してみせるよ」
お題配布恋したくなるお題より 管理人:ひなた様
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あとがき
亮司さんは色んな事を知っていたと思います。
人より色んな情報を持っている人って結構ツライ事多いような気がします。
そんな部分を書けたらって思ったので・・。
しかし、似た内容の作品、以前にも書いたような・・・。