届くはずない淡い思い | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

どんなに願っていてもかなわない思いだって思っていたから。

幼いころの彼をどれだけ知っていようとも、

どれだけ、彼女よりも彼を知っていようとも、

彼が選んだのは「わたし」ではなくて「あの子」だったから。


ただ純粋に、ひたむきにそんな生き方をしていたあの子を彼は選んだのだから。


泣きはらした彼女の姿を見つけた瞬間、

今まで表情ひとつ変えなかった彼が見せた苦痛の表情。


それが、あの子をどれだけ思っているかの証拠になる。


震えるあの子の声に、彼の体がこわばる。


告げてない真実を突きつけた瞬間感じた、彼の殺気。


それは、己に向けられた濡れ衣よりも

あの子が真実を知ってしまったことによる苛立ち。


あの子を助けたい。

その一身だけで、彼の体はいつの間にか傷つき倒れた。


あの子が見つめる彼への視線も紛れもなく

彼を思う淡い気持ち。


けれど突きつけられた現実の方が信じられなくて

彼が隠していた事に対してのショックが大きすぎて

溢れ出る涙を止めるすべもなく。

とめられる唯一の人は、深い眠りについたままで。


泣き出したまま飛び出したあの子を追う気にもなれず

私は眠っている彼へ視線を戻す。







「・・・・・あんたは・・・・。あの子を選んだ・・・。」







ぽつりとつぶやいた声は部屋に響き

気がつくと頬を伝う涙に気がつく。



















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あとがき

久しぶりに、書いてみました【GARO】

今度は主人公やヒロインとは別の第三者からの視点です。


こちらは、主人公「鋼牙」の幼馴染(?)の邪美の視点。

私の妄想で書いてますけどね。