どんなに願っていてもかなわない思いだって思っていたから。
幼いころの彼をどれだけ知っていようとも、
どれだけ、彼女よりも彼を知っていようとも、
彼が選んだのは「わたし」ではなくて「あの子」だったから。
ただ純粋に、ひたむきにそんな生き方をしていたあの子を彼は選んだのだから。
泣きはらした彼女の姿を見つけた瞬間、
今まで表情ひとつ変えなかった彼が見せた苦痛の表情。
それが、あの子をどれだけ思っているかの証拠になる。
震えるあの子の声に、彼の体がこわばる。
告げてない真実を突きつけた瞬間感じた、彼の殺気。
それは、己に向けられた濡れ衣よりも
あの子が真実を知ってしまったことによる苛立ち。
あの子を助けたい。
その一身だけで、彼の体はいつの間にか傷つき倒れた。
あの子が見つめる彼への視線も紛れもなく
彼を思う淡い気持ち。
けれど突きつけられた現実の方が信じられなくて
彼が隠していた事に対してのショックが大きすぎて
溢れ出る涙を止めるすべもなく。
とめられる唯一の人は、深い眠りについたままで。
泣き出したまま飛び出したあの子を追う気にもなれず
私は眠っている彼へ視線を戻す。
「・・・・・あんたは・・・・。あの子を選んだ・・・。」
ぽつりとつぶやいた声は部屋に響き
気がつくと頬を伝う涙に気がつく。
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あとがき
久しぶりに、書いてみました【GARO】
今度は主人公やヒロインとは別の第三者からの視点です。
こちらは、主人公「鋼牙」の幼馴染(?)の邪美の視点。
私の妄想で書いてますけどね。