神様。
何度、願った―――。
誰もが微笑んでいる世界。
誰もが幸せで・・・。
誰もが―――。
「神様・・・・。私の願いはたった一つなんです」
澄み切った夜空を眺めてそっとつぶやく。
その言葉は白い吐息と共に消えていく。
「神様・・・。お願い」
両手を組んで目を閉じ必死に願う。
誰も傷つけないで
誰も苦しめないで
玉依姫の存在があなた達を苦しめているの?
「神様」
お願い
お願い
私はの願いはたった一つです。
夜空はいつもと同じように美しく森を包み込む。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「大丈夫?」
「はい。大丈夫ですよ」
にこりと微笑む珠洲の姿に同じ玉依姫の珠紀はその姿に心が痛む。
この村に着いたときこの村の異様さ。
空を見上げて見つめる珠洲をそっと盗み見る。
彼女の側に守護者の存在があまりにも少ない。
彼女の守護者は自分についている守護者とはあまりにも違いすぎる。
信じていた人からの裏切り、肉親から狙われる命の恐怖。
なおかつこの村の人々が見る彼女への視線。
自分なら耐えられるものではない。
あまりにも対照的な違いの玉依姫。
「泣かないでください。珠紀さん」
いつの間にか涙を流していたであろう、珠洲は微笑みながら
ハンカチを差し出していた。
「聞いてもいいかな?」
「はい」
「・・・・・・・怖くないの?」
珠紀の言葉に、珠洲は首をかしげる。
何を指していっているのか分からないとでも言っている様子で。
「だってお姉さんに・・」
「私は」
珠紀の言葉を遮り珠洲は、そっと手を取る。
「一人ではないですから。私には守護者のみんな。それに珠紀さんや鬼崎さんもいます」
だから怖くなど無いのだと。
「でも!」
「私嬉しいんですよ。私は一人じゃないってわかったから。亮司さんや晶、陸。克彦さんや小太郎くん
私のために必死になってくれている。
なら、私は玉依姫の私が出来ることは、たった一つですよ」
その言葉に、口を閉ざしてしまう。
思わず俯く。
溢れてくる涙を見せたくなくて。
「もどりますね」
珠洲が去った後も珠紀はその場に立ち尽くしていた。
彼女の姿は神々しくてけれど儚げで
「お願いだから・・」
彼女が幸せでありますように。
珠紀は空に祈らざるを得なかった。
神様お願いです
私の願いはたった一つ
私の大切な人が―――――
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あとがき
緋色の欠片DSをプレイしている最中なので、どうして1と2のヒロインでの会話を
と思って書いてみました。
全然違う玉依姫の扱いに驚いたのが最初でしたので・・。
翡翠はあまり評価を得てないですけど、私は好きです。