洗濯する美しい娘と罪深き紅き色(14) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「旬麗!」


村の入り口には心配そうに立っていた半の姿があった
気を失っている旬麗に気がつくと慌てて駆け寄る。


「なにがあったんだい!」


「大丈夫ですよ。探していた人とは違うから、
緊張の糸が切れて倒れてしまっただけですから」


八戒の言葉に、半は頷きすぐに彼女を家の中へと入れる
旬麗を寝かせた後、家の入り口へ行くと
自分達の荷物をジープにつめている
四人に半は気がついた。


「それでは、そろそろお暇しますね」


「なにいって・・・旬麗が起きるまでは・・・
それに、この女の子も」


「いいってことよ。バーサン
咲弥は寝ているだけだから、怪我の手当てもすんでいるし」


ひきとめようとする半を悟浄は軽く返事を返す。


「僕らも急いでいるので」


「・・・じゃあな!」


「・・・・世話になった」


「ありがとうございます」


半にお礼を告げながら、出て行く四人に
あっけを獲られるがすぐに追いかけて留めよう声をかけようとするが
肩をつかまれ、名前を呼ぶ悟浄に止められる。


「あのさ、旬麗に伝えて欲しいことがあんのよ」





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






「んっ・・・・」


日が落ち旬麗は思い身体を起こすとあたりを見渡す
なぜ自分は、自分の家の部屋で寝ているのだろう。
慈燕がいると思って呼び止める咲弥さんの声を振り切り
森に入り、悟浄たちに助けられた。
そこまでは覚えているが、その後のことは覚えていない。


「オヤ?起きたのかい」


部屋の入り口に安堵した顔している半の姿があった。


「おばさん!!皆は―――――
悟浄さん達は!?」


「それがねぇ。ついさっき出ていっちまったよ
せめて旬麗が目覚めるまではって
止めたんだけどねぇ」


半の言葉に旬麗は慌ててベッドから起きると
部屋から出て行こうとした
それを半は驚いて、寝ておくようにと告げる。


「ああ、ダメだよ。まだ起きちゃ!!」


「だって私・・・・お礼言ってないの
あんなに迷惑をかけたのに・・・!!
どうしよう、おばさん」


「迷惑だなんて・・・・
あの子達は、これっぽっちも思っちゃいないよ
―――――ああ、それから旬麗に伝えてくれって頼まれたよ」


諭すように半は旬麗に話し、思い出したように
悟浄からの伝言を告げる。


『俺たちは、桃源郷の異変の原因を突き止める旅をしている
―――――だからさ、近いうちに必ず
慈燕はあんたの元へ帰ってくる
そう、旬麗につげてくれ』


半から告げられた悟浄の言葉に
口を押さえ嗚咽をするが
すぐに溢れてくる涙をぬぐい笑顔を見せた。


「・・・・旬麗?」


「そうよ、ね
慈燕が戻ってくるのに私が泣いてちゃ
慈燕が心配するわ
それまで、私は慈燕を信じて待たなきゃ
何時までもないていたら、慈燕にも悟浄さん達にも笑われちゃう」


半につげ窓の外をみると夕焼けがあたりを包んでいる


(私を勇気付けてくれたのは
この夕焼けみたいにキレイな瞳と甘い声だと知ったら
貴方は焼くかしら・・・・慈燕・・・)


旬麗の思いを夕日は優しく包んでいった
あの人たちとも再び合えることを信じて・・・・。


「ふ~ん。じゃあ今回は、悟浄の兄貴とは
別人だったんだ」


「多分な・・・兄貴は銀髪じゃねェし
―――――ま、イイってことよ
お互い生きてりゃその内どっかで
スレ違うくらいはするだろ?」


妙にすっきりした面持ち悟浄に周りも
何もいうことなく聞いていた。


「・・・・・しっかしアレだな
フリーのイイ女はなかなかいねェよ」


「ケッ!くだらねえ」


椅子に持たれかかりながら言う悟浄に
三蔵はバカにいした様子で答え煙草をくわえた。


「お前ね――――。女に興味ないなんて
病気だぜ、ビョウーキ!
それともホモ?」


助手席を覗き込みながら三蔵を見る悟浄に
三蔵は銃を構える。


「・・・・・撃ってもいいか?」


「一発じゃ、死にませんよ」


さらりと答える八戒に悟浄も三蔵も悟空も
ぞっとしながら席に着く
咲弥はまだ夢の中のようだ。


「まー、いいか。イイ女はここにいるし」


「あー!咲弥にへんなことすんなよ!このエロ河童!」


「っせーよ、この猿吉」


「なんだと!」


二人の不毛な会話を始めるとむくりと咲弥は起き
運転している八戒に声をかける。


「八戒・・・」


「あれ?起きたんですか?」


「降りるね」


「え、咲弥・・・」


「おい。まさか」


咲弥の言葉によぎる過去の出来事
ソレより先に咲弥はひらりとジープから飛び降りると同時に
再び、斜面をすべり川へ落ちる四人
その様子を、濡れることを逃れた咲弥はにこにこしながらみていた。




「本当に、面白い・・・」






                                悟浄編 終了