洗濯する美しい娘と罪深き紅き色(12) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

森に到着した三蔵たちは、あたりを見渡し
大声で旬麗と咲弥の名前を呼ぶが返事が返ってくることはない。


「旬麗!!咲弥!!」


「手分けして探そう。悟浄と八戒は向こうへ」


「ああ」


「俺と悟空はこっちを探す」


「では、ジープは目印としてここにいてください」


八戒の言葉に答えるかのように一声鳴くと
悟空と三蔵は森の中へ入り、

それに続けと八戒と悟浄も森の中に入っていった。


「旬麗!咲弥!!」


「どこだ!旬麗!咲弥!」


森の中へ名前を呼びながら進むと悟浄はふと足をとめた。
思い出すのは、幼い自分を見てない母親の姿
自分を見ながら、愛しい男の姿と
見知らぬ女の亡霊に悩まされていた母親の泣き顔を。


『ねえ?悟浄・・・私は、貴方のその深紅の瞳も髪の色も好きよ
貴方の過去が何であれ、私は誰にでも胸を張っていえるよ』


昨晩咲弥が告げた声が響く。


「すみませんでした」


振りむくと八戒が自分を見ながら声をかけた。


「お兄さんのことみんなに話してしまって」


「ああ、いーってことよ」


「悟空スネてましたよ。秘密事とか極端に嫌いますからね」


「チッ!おっせかいな奴だな」


煙草をふかせながら、あきれたように告げる。


「他人のことなんぞほとっけっつーの。なぁ?」


同意を求めるように話す悟浄に困った顔を見せる。


「そういう言い方すると怒りますよォ」


「ガキだかんなぁ。悟空(アイツ)は」


「いいえ」


きっぱりと告げる八戒に思わず顔を向けると
すこし怒りを見せている彼の顔がうつる。
 
「僕がです。僕もガキですから・・・・
いけませんか?」


「いや・・・」


「それに・・・」


「んぁ?」


「咲弥も哀しむと思いますよ」


八戒の言葉に、悟浄は小さく息を吐く。


「・・・・・・悪かったよ」


お手上げだといわんばかりに両手を挙げる悟浄に

八戒はにっこりを笑顔を見せた。
まるで我慢をしている自分が子供じみているような
そんな気恥ずかしさが、悟浄のなかにあった。








「きゃぁぁぁぁぁぁああ!!咲弥さん!!」



森を響いて聞こえた声に八戒と悟浄は顔を見合わせ
もと来た道へ急いで戻った。