永久に想いを(2100番突破記念) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

夜も更けた時刻

特にすることもなく、読書に耽っていた彰紋は不意に顔を上げて

部屋の襖を開けた。


さわり・・・・・・・


風が頬を撫でる。

心地よい風に目を閉じ、開いた瞬間驚いた。


「咲良さん!」


「こんばんわ」


「な!どうして・・・。じゃなくて、まだ夜は暖かくありません。さあ入って」


日中の日差しが温かく感じるようになっても

夜はやはり冷える。

そんな中、咲良は薄い着物一枚で彰紋に笑顔を見せていた。


「とにかく、温まってください」


「・・・・ごめんね」


「いいんですよ。さあ・・」


申し訳なさそうに告げながらも部屋に一向に入る気配がない

咲良に彰紋はもう一度部屋へ入るように促す。

おずおずと部屋に入るときょろりと辺りを見渡す。


「東宮様のお部屋って感じに見えない・・・。なんだか学者さんのお部屋みたい」


沢山の書物が積み上げられ、机には何かを書いていてそのままの用紙

そんな部屋の様子を少し驚いた言い方でいう咲良に

彰紋はくすりと笑みを落とした。


「僕は、何も分からない東宮ですから」


「そう、なの?私はいつも彰紋くんから教えてもらっているわ。

 そんな彰紋くんが何も分からないって」


「僕は、まだまだですよ」


座るように促し、向き合う形でぱらりと一冊の本を開く。


「これは?」


「以前貴女が読みたいとおっしゃっていた、漢詩ですよ」


「そうなんだ、嬉しい」


開いた本に食い入るように視線を落としていたが

顔を上げてにこやかに微笑んで告げた咲良の姿に同じように彰紋も笑顔で返す。


「咲良さん。こんな夜更けにどうしました?」


「・・・・・」


彰紋の訪ねに咲良はぴくりと身体を動かし

顔を俯かせた。


「あ・・。怒ってはいません。けれど、こんな時刻。何かあったのですか?」


「・・・・・・・会いたかったの


「え?」


「な、なんだかね・・。最近、彰紋くん忙しそうで・・・中々屋敷に顔を出さないから

 それで・・・・・」


真っ赤になって告げた彼女の答えに一瞬頭の中が真っ白になってしまったが

直ぐに彼女の言葉に意味を知った瞬間、自分に引き寄せた。


「あ、彰紋くん?」


(まずい・・・・。こんなにも嬉しいなんて)


あの一件があり彼女は、自分の感情を押し殺す傾向がある。

それが解決し晴れて恋人同士になった自分にすら

寂しい、悲しい、苦しい。

そんな想いをほとんど見せてくれない彼女が


「すみません。貴女に寂しい想いをさせてしまって」


「ち、ちがうの・・・。あの・・あの・・・」


必死になって弁解しようとしている彼女の頬にそっと手を添えて

触れるだけの口付けを落とす。


「僕は寂しかったですよ。貴女に逢えなくて」


「彰紋くん」


「だから嬉しい、貴女が僕と同じように思ってくれて」


彰紋の言葉に咲良は頬を紅くしたままはにかんだ笑顔を見せた。


「ずっと一緒にいることができますよ」


「え?」


「それは―――――」


耳元で囁かれた言葉に、驚いて顔を挙げ

涙がはらりと零れる。

そんな咲良の涙を口で掬う。


「返事を頂きたい。咲良さん。」


「・・・・私でいいんですか?」


「貴女でなければ僕は生きていけません」


だから答えを・・・・

その問いに咲良は、己の顔を彰紋に近づけると唇に自分の唇をそっと乗せた。


「それが答えでいいんですね」


「・・・・はい・・・」


頷きながらの咲良の返事を聞くと、今度は先ほどよりも深い激しい口付けを落とす。

ふと、灯っていた明かりが消え辺りは暗闇に包まれた。








後日、友人の花梨の元へ一通の文が届く







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あとがき

2000番突破していたので

遙かなる時空の中で2で書いてみました。

2100番突破しました。

こちらの小説は、今月いっぱいはフリーで、頂きたい人がいらっしゃったらどうぞ。

その代わり、私が書いたことをきちんと明記してくださいね。

(まあ、誰ももらわないと思うけどね(;´▽`A``