「失礼します。三蔵様お茶をお持ちしました」
扉が開き、先ほどの僧侶がお茶を持って入ってくる
しかし、咲弥の姿が見えない。
「あの・・・・」
「はい?」
「すみませんが、先ほど貴方のとこへ
僕達の連れの女性が来たと思うのですが・・・」
不思議に思った八戒が僧侶に尋ねる。
「いいえ。来てませんが?」
言っていることが解らないとでも、言うような僧侶の仕草に
四人が一斉に立ち上がる。
「おい!嘘つくなよ!咲弥はお茶をお願いに、いっただろーが!」
「い、いいえ。こちらには来てませんが・・・」
「廊下でも会いませんでしたか?」
「え、ええ・・・」
恐る恐る返事を返す、僧侶はお茶をテーブルに置くと、
そそくさと部屋から出て行く
残ったのは立ち尽くしている四人だけだ。
「どうなってんの?」
「僕に聞かないでください。三蔵」
「チッ!」
バタンと大きな音を立てて扉を開けると、
そこには今まさにこの部屋を空けようとした
別の僧侶の姿があった。
「三蔵様、大僧正様が是非三蔵様にお話があるそうでして
来てはいただけませんか?」
「・・・・今は、忙しい。後にしてくれ」
「三蔵さま。そこを何とか・・・」
近づいてきた僧侶の法衣についていたかすかな香りが三蔵の鼻につく
一瞬考えた振りをした三蔵だが
「・・・・いいだろう、準備しだい行く
外で待ってろ」
承諾の答えに三人は目を見開いて三蔵を見る。
「ありがとうございます、では支度が整い次第お連れします。外で待っておりますので」
「三蔵!」
僧侶が出て行ったのを確認すると
部屋を閉めた三蔵に悟空は食いかかる。
「そうです、咲弥さんがいないのに」
「アイツの服から、咲弥の匂いがした」
「え?」
「それじゃあ、まさか・・・」
「行くぞ」
八戒の言葉を無視しながら三蔵は部屋から出る。
「行きましょう」
「おう!」
「咲弥チャンに手を出すなんて、馬鹿な奴」
三人も部屋から出ると、待っていた先を歩く三蔵を追いかける
驚いたのは、呼びに来た僧侶だ。
三蔵一人のはずが残りの者達までも来るとは予想してない。
「あの・・・三蔵様・・・・」
「咲弥はどこだ」
「なっ!」
三蔵の言葉に顔を青くする僧侶
視線を泳がせ言葉をつなぐことが出来ない。
「・・・・・オレは気が短い。早く答えろ」
「な、何を仰っているのか私には解りかねます」
カチャリ
「ひぃ!!」
「早くしろ・・・・」
「そうですよ。咲弥さんはドコです?」
「そうそう、教えたほうが身のためだよ」
「咲弥はどこだ!!」
四人に囲まれているが、それでも口を開こうとしない僧侶に三蔵は苛立ちを覚える。
額に銃を当て、今にも撃つといわんばかりだ。
「おい。いい加減にしろ・・・・・死にたいか」
「わ、わかりました!教えます」
「それでいいんだよ」