彼が彼女を選んだ。
彼女が彼を選んだ。
そんなこと分かりきっている。
元々入る隙間などなかったのだから。
それでも望んだ。
偽りでもかまわないと。
あの人の瞳に写るのなら。
あの人の妻となれるのなら、と。
けれど、彼の視線がどうあがいても私に向けられることがないと悟った瞬間。
心の中に住み付いたのはどす黒いこの気持ちだけ。
引き裂いてやりたいほどに憎らしい珠洲の姿。
嬉しそうな笑顔をこちらに向けるだけで吐き気が起きる。
そんな思いを必死になって隠していたのに・・・。
私が、貴方のためにどれだけ犠牲を払ったのか知らないくせに。
二年後であった貴方は、あのときよりも美しくそれでいて穢れを知らない顔で
私を見つめて、私の名を呼び。
彼の名を呼び。彼の隣に立ち。
許さない・・・・・・・。
離れなさいよ・・・。
隣に相応しいのは私。
貴方は死ぬだけの巫女。
哀れな巫女。
涙を流して私を見つめる姿に、彼は心を痛めて己の腕の中に引き寄せる。
その光景に、ますます私の憎しみは広がる・・・。
切り裂いてやりたいと。
苦しみを味あわせながら貴方を大地の礎にしましょう。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
あとがき
すごく久しぶりに翡翠の雫を更新してます。
真緒さん視点からの二人への想いを書いてみました。
いい加減、翡翠も更新開始しないといけませんよね。あはは(;´▽`A``
三月には一気にできたら・・・・。(また無謀な