作品Ⅱ(十七人集)
L、M、S箱に分けられ均等にされたね不揃いの林檎たち 伊東恵美子
晩秋の檪林に見つけしとふわが手にのせる天蚕(あまこ)の繭を 上野幸子
若い胃をしてゐますねと誉められて嬉しく我は厚く礼言ふ 坂田千枝
差し向い湯上りビールの旨かりし浜岡原発しばし忘れて 佐々木剛輔
悪循環なれどもISへの爆撃をやめるかという選択肢なし 松本憲治
あめとあるを飴と思いて読みゆくに雨であるなりわれを淋しむ 齊藤淑子
(※「あめ」に傍点)
目の前にありて見落とす老眼鏡苦笑いする真夜の机に 飯田直代
大空のキャンバスいっぱい描きなぐる飛行機雲の白線まぶし 田村郁子
石蕗の葉に朝露の光る庭飽かず眺めて一歩踏み出す 森田栄子
「そんなこと言わないでいい人前で」とたしなめらるる夫らしき人 井上成子
よくやったよくやっているそんなふうな風の生れきて夫の気配せり 河上則子
早朝の窓あけたれば菊畑のすがしき匂ひただよひて来ぬ 松本ミエ
ケアーハウスの窓灯されて母の身の守られてゐるとおもふうれしさ 庄野史子
赤い実をさわにつけたる千両の枝もひと枝切りて供える 藤原つや子
翡翠は市の鳥葦をたわませて身じろがずに居る川面を見つめ 飯田世津子
税務医務ぶら下がりくる諸項目個人番号これに耐ふるや 塚澤 正
インテリの憂鬱顔もほころばむ霜降り仕込みし芋煮を食めば 高橋和弘
L、M、S箱に分けられ均等にされたね不揃いの林檎たち 伊東恵美子
晩秋の檪林に見つけしとふわが手にのせる天蚕(あまこ)の繭を 上野幸子
若い胃をしてゐますねと誉められて嬉しく我は厚く礼言ふ 坂田千枝
差し向い湯上りビールの旨かりし浜岡原発しばし忘れて 佐々木剛輔
悪循環なれどもISへの爆撃をやめるかという選択肢なし 松本憲治
あめとあるを飴と思いて読みゆくに雨であるなりわれを淋しむ 齊藤淑子
(※「あめ」に傍点)
目の前にありて見落とす老眼鏡苦笑いする真夜の机に 飯田直代
大空のキャンバスいっぱい描きなぐる飛行機雲の白線まぶし 田村郁子
石蕗の葉に朝露の光る庭飽かず眺めて一歩踏み出す 森田栄子
「そんなこと言わないでいい人前で」とたしなめらるる夫らしき人 井上成子
よくやったよくやっているそんなふうな風の生れきて夫の気配せり 河上則子
早朝の窓あけたれば菊畑のすがしき匂ひただよひて来ぬ 松本ミエ
ケアーハウスの窓灯されて母の身の守られてゐるとおもふうれしさ 庄野史子
赤い実をさわにつけたる千両の枝もひと枝切りて供える 藤原つや子
翡翠は市の鳥葦をたわませて身じろがずに居る川面を見つめ 飯田世津子
税務医務ぶら下がりくる諸項目個人番号これに耐ふるや 塚澤 正
インテリの憂鬱顔もほころばむ霜降り仕込みし芋煮を食めば 高橋和弘