まひる野集


友といるわれもゆららとほどかれて花大根を濡らしゆく雨   市川正子


玄関のたたきに潜む蟋蟀に猫と二人で耳をそばだつ   高橋啓介


一月集


顔色が悪いよと友は言うけれど寝坊したからすっぴんなだけ   小原和


作品Ⅲ


あまたある標(しるし)に意匠こらしたり皆俯きて歩くを知りて   柴田仁美


※()内はすべてルビです。