【手首の中のプレート】
手術から1年が経った頃
指も動くようになり
手首も内側には曲がるように
なっていった。
手首にいれていたプレートを
はずす手術の日が
近づいていた。
プレートは
「身体においたままでもいい」と
病院では言われた。
でも…
私は取ると決めていた。
なせがといえば、
ある女性とのご縁があったからだ。
まだ右手が麻痺して動かなかった頃
ひとりで近場の温泉に
療養しにいったことがあった。
たまたま温泉に
一緒につかっていた年配の女性。
動かない私の手を見て
話しかけてくださった。
どうやらその方も
骨折でプレートを
身体にいれたたままに
なっているとのこと。
年をとるにつれて
自分の身体は老いるのに
金属は変わらない。
金属の冷たさを
違和感としてすごく感じる
はっきりした言葉を
忘れてしまったけれど
"身体の中にずっと冷たさを感じる"
というような事が
私の中に残った。
"とれるなら取っておいた方がいいですよ"
また、手術するということ?
手術から手首から先が
麻痺して動かなくなった私にとって
また手術することは
怖さしかない…
その時の私にはまだ
大きなハードルだった。
ただ
そこでその時お会いできたこと
聴かせてもらえたことは
何かの巡り合わせ。
そう感じる自分もいた。
プレートは1年経過しないと
はずすことはできない。
その頃にはきっと
何か変化しているだろう…と
私はありがたく、
その方のおっしゃる通りにしようと
その時心に決めた。
