【あたりまえは奇跡】


「手術したら、

今の痛みはなくなりますよ〜」

という看護師さんの声に

ズキズキと続く骨折の痛みが

なくなるのだけを楽しみに

手術をうけた。



そして

ギブスがやっと取れた日のこと。。


グローブのように

腫れた右手。




指も全く動かなかった。



「おかしいなーー」

と先生に言われて

不安になる。


そのうち腫れも

ひいてくるだろうと

思っていたけれど

何日たってもかわらなかった。


「固まったらいけないから

動かさないと!」

と言われて

手首のリハビリを受けるものの

どこもかしこも

硬直しているのを感じた。


動かない分、右手全体が重い。

右半身が重い。


片側が重たいと

歩くのにバランスがとりにくい。

道を歩くのも

ままならない。


普通に歩いてるって

なんてすごいことだったのだろう。


人生初、左手の活躍の時がきた。


左手に感謝したこと

今まであっただろうか…


ありがたかった。


左手だけだと

洗濯物がほせない。

ピンチをつまみながら

洗濯物をはさめないのだ。


髪の毛をくくりたい。

でも、左手だけだと

くくれないのだ。


ゴミ袋の口を結びたい。

でも、左手だけだと

結べないのだ。


あたりまえにできていたことが

すごいことだったんだと

そんなあたりまえに

気づかされた。


今動いてくれている

身体のひとつひとつに

感謝がわいた。