30話

次男が学校にいかなかった頃…
夜になると、必ずこう言った。

「明日は、行くわ!」

最初の頃は、
その言葉を信じていた。
朝になって、
何度も起こしても起きず
結局行かない。
その繰り返しに
毎日イライラしていた。

そのうち、

"どうせ行かないんだ"
と、あきらめるようになった。

学校に行かなくても
ご飯も食べてるし、
笑ってるし、
しゃべってるし、
病気で苦しい思いを
していたら…と思えば
今、元気でいる、
それで
十分じゃないか。

そう思ったりした。

それなのに
私の心の中は
なぜか、まだ
モヤモヤしていた。

ある日
朝になって
学校に行く時間になっても
ずっと寝てる息子をみて
がっかりしている
自分にきづいた。

今日は
行くかもしれない…

まだ期待してる私がいた。
その期待が
毎朝裏切られる。
期待してるつもりないのに
わずかにだけど
期待してる
自分がいるのがわかったとき
愕然とした。

期待してしまう自分が
嫌だった。
がっかりする自分が
嫌だった。

なんで
期待してしまうのだろう。
どうしたら
期待しないで
いられるのだろう…

行っても行かなくても
どっちでもいいと思える
自分になりたいのに
なれない。
どう思えばいいのか
どうしたらいいのか 
わからなくて
毎日自分の中で
もがいていた。

そんな時
ある人にこう言われた。

「そう思えない自分のこと
ダメやと思ってるから
しんどいんとちがう?」

その瞬間
私の中で
長い間悩んでいたことが
悩みでなくなった。

余計な思いが
自分をひっぱっていた。 

まだまだ
期待してしまう自分がいる、
ただ、それだけで
よかったんだよね。