29話

3人の子どもが通った
幼稚園がある。

小さな幼稚園だけど、
そこに通わせたかった。
初めて説明会に行った時
子どもの自主性を
大切にする、そんな話を
してくださった先生。

優しそうな人だった。
言葉に力があった。
その子の中にあるものを信じ、
大切にしてくれる、
そんな気がした。

結局ひとり3年ずつ
丸9年、幼稚園に通った。
どれだけ
お世話になったかわからない。

卒園してからも
次男の不登校で悩んでいた頃
先生に
話をきいてもらった事がある。

「○○幼稚園で育った子どもは
  大丈夫ですよ😊」

先生は
そう言い切ってくれた。  
先生が知っているのは
3歳〜卒園するまでの
小さな時の息子でしかないのに
なんで、大丈夫だなんて
いいきれるのだろう?
その時の私は
少し不思議だった。

でも、
親以外に
大丈夫だと
信じてくれる人がいる事は
ありがたかった。

つい先日、
何年ぶりかで
先生と会った。

不登校だった次男のその後
の話をしていたら、
先生の"大丈夫"を思い出した。

先生の大丈夫は
どこからきていたのか
きいてみた。

"だって
大丈夫しか、ないんですもの。
絶対大丈夫なんです"

変わらない笑顔で
そう答えてくださった。

今思うと、
あの時、
悩みの真っ只中にいた私は、
その"大丈夫"を信じたかった。
"大丈夫"だと思いたかった。
"大丈夫"だと思おうとした。

今なら
この"大丈夫しかない"
"大丈夫"を
そうだなって
思う事ができる。
たとえ
誰かに、そう
言ってもらえなくても
私の中に
いつのまにか
"大丈夫"が
存在してるのを感じれる。

自分がまだ
信じきれないときに
支えてくれるのは

"大丈夫"を信じきれる人の
力なのかもしれないな。