21話

あれから次男は
どうなったかというと…
4浪目に突入した。

今年無理なら
働くこと!と約束していた
にもかかわらず
やっぱりもう一年!
と言われた時…

ここで認めたら
あまやかすのでは…
いつまでも浪人させてもらえると
思わせてしまうのでは…
働かない人になるのでは…
と、頭が働いた。

それに、
3浪もしたら
もう充分だろう、
と思っていた。

でも…
父親は
その希望をうけいれた。

なんで?と不思議がる私に

自分が働いている間なら
なんとかなる。
やりたいだけ
挑戦させてやりたい。

そんな感じのことを言った。

ひとつの現実を目の前にして
どうとでも考えられるし
どうとでも受け取れる。

何が正解なんて
ないのかもしれない。

その選択で
次男がどうなっていくか、
先のことは
進んでみないと
わからなかった。

そんな時
長男が小学1年に
なった時のことを思い出した。

朝、学校に行く直前になると
お腹が痛いと
メソメソしはじめた。

幼稚園の時も何ヶ月も
私から離れない子だった。

毎朝、小学校の門の前まで
ついて行っていた。
1ヶ月…2ヶ月と過ぎると
これはいつまで続くんだろうと
毎朝憂鬱だった。

ある日父親が
「いくで!」と言って
長男に声をかけてついていった。
次の日も次の日も。
私のように
イライラもしていない。

「なんで、そんなに普通に 
ついていけるん?」

と、きいてみた。

「ついてきて、っていうから
ついていったらええんちゃうん」

え…
そんなこと??

こんなことをしたら
毎日一緒に行ってくれると
甘やかせるんじゃないか?

ひとりで行かない子に
なるんじゃないか?

そんな考えが
働いて、勝手に
イライラしたり
怒ってしまっていた私だった。

そうか…
この子にとって
何が今必要なのか…
誰の目を
気にする必要もない

シンプルでいい。
その時、そう思えた。

そして、次男がまた
繰り返すようにして
教えてくれた。

まだまだ枠の中にいたのは

私の方だった。