く
20話
東京に行ってから
3浪目に
初めて次男が帰ってきた。
ある日
"人が生きるのに
自己肯定感って
やっぱり大事だな〜"
となんとなく考えていた。
その時、
次男のことを思い出した。
中学で右肘を痛めて
大好きな野球が
できなくなった時も
不登校で
学校にいかなくなって
いったときも
「どうせ俺はだめなんだ」
と、卑屈になる理由は
たくさんあった。
「あいつはいいよな」
人を羨むことも
いくらでもできた。
でも、彼から
そんな言葉を聞いたことは
一度もなかった。
人がいい結果がでた話をきいても
「へーーすごいなー」
と、普通に言う。
いつも不思議だった。
私なんて…と
思っていた
子どもの時の私とは
大違いだ。
そのことを思い出して
目の前にいた次男に
聞いてみた。
「前から不思議だったんだけど
なんでそんなに
自己肯定感高いの?
どうせ俺なんて…
とか、思った事ないの?」
そうきいてみた。
「ないなぁーー」と。
「なんで思わないの?
学校もいかなかったから
友達はいいよなーとか
俺はあかんしーとか
思ってもおかしくないやん。」
私はさらにきいてみた。
そうしたら、
思いもよらない答えが
彼から返ってきた。
「僕が自己肯定感高いとしたら
それはな
お母さんのおかげやで」
びっくりしたのは私だった。
「えーなんで(・_・;
なんで私のおかげなん!?」
「お母さんのおかげやから」
彼は真顔で答えた。
私は知っている。
おかげだなんて言える事
何ひとつ自分がしてないこと。
それだけは自信をもって
言えた。
「いやいや、
私いつもイライラして
怒ってばかりやったから
私のおかげなんてこと
絶対ない‼️」と、全否定。
そうしたら
次男はこう言った。
「確かにお母さんは
怒ってたで。
でも、
僕を根本的に否定したことは
一度もなかった。」
「よーく思い出してみて。
絶対あったって」
私はさらに聞いた。
そうしたら
いつもふざけている次男が
笑いもせず、真顔で言った。
「一回もないで。
もしあの時
お母さんが僕のことを
否定してたら
僕は生きてこれんかったと思う。
だから
一回もないで。」
私には
何の言葉もでなかった。
あの、怒涛の毎日、
私はただ感情に流されて
とにかく学校にいかせたくて
行かないことが
受け入れられなくて
怒ってばかりいた。
イライラのあまりに
感情的になって
ひどい言葉を言ったことを
自分が覚えている。
でも、
彼の耳には届いてなかったのか…
でも、彼は
一度とない
と言った。
しつこい私は翌朝
もう一度きいた。
「やっぱり一回は
あると思うよ。」
それでも彼は言った。
「一回もないで」
その時私は感じた。
護られてきたこと…
祈ってるよなんて言わないけれど
きっとずっと
祈りつづけてきてくれた
祖父母に、
ご先祖さまに
もっともっと大きな力に。
言葉やみえるところに
影響されずに
こんなふうに
受けとめれるように
彼をひっぱってくれて、
支えてくれてきた、
見えない大きな力が
ただただありがたかった。
私がどうであれ
大きな力に護られ
育ててもらえてることを
実感した。
