18話
次男のことで
自分の中に
あるとは思いもしなかった
"愛情"というものに
気づかせてもらった時
もうひとつ
わからせてもらえたことがある。
小さい頃から
家でも外でもどこでも
ひっくり返って
泣いてやまない。
喘息の発作の世話で
何年も眠らせてもらえない。
学校にいかない。
ババアなんやかんやらと
毎日毎日嫌な言葉を
連発してくる。
私の思うようになど
一度もならなかった。
本当に合わなくて
離れたくて仕方なかった関係
なのにもかかわらず
私は次男に深い
愛情を感じていることが
わかったとき、
常に否定され
人と比較され続け
怒られ続けてきた
母親との関係だったけれど
私も…愛されていたんだ
ということを知った。
言葉や行動なんて
何も関係ない。
私の気にいるように
相手の望むように
なろうが
ならまいが
喧嘩しようが
憎しみがわこうが
その奥には
愛情がある。
ひとの中には
みんな愛情の灯火がある。
こんな私の中にあったのだから
絶対人の中には
みんなにある、
私はその時なぜか
そう確信した。
次男が旅立つ日
空港まで送って行った。
いつものように
普通に見送った。
期待感いっぱいに
彼は行ってしまった。
駐車場に停めていた
車に乗ったら
急に涙がでてきて
とまらなくなった。
