11話
不登校の息子を
そのまま
受けとめれる自分になりたいのに
なれない自分…
わかっているのに
いらない期待をして
がっかりしたり…
そんな毎日が続く
ある日のことだった。
ずっと前から
好きで何度も読み返していた
本があった。
夕飯を作りながら
ふと、その本の中の
一節が思い出された。
"人は幸せになるために
うまれてきたんだよ"
いつも普通に読んでいた
一節だ。
私、今、幸せを
感じてないなーと思った。
いつまでもこの現状を
受け入れられてなくて
やっぱり悩んでるなぁ…
と思った時に
思った。
あれ…
これって
根本的に違うのかもしれない…
この毎日をどこかで
駄目だと思っていた。
不登校の息子を
受け入れよう
受け入れようとして
一生懸命だった。
その時、
そのこと自体が
違う気がした。
この毎日は
だめなんかじゃない。
彼がやってることは
だめなことじゃない。
これでいいんだ。
間違ってないんだ。
その一瞬
なぜか
そのことが
はっきりと
わかったのだ。
その途端、
私は思い出した。
15年くらい前に
私自身が
たくさんの思い込みを
はずして
自由な心で生きたい!
と決めたこと。
愕然とした。
ごめんなさいという思いが
わきでてきた。
ありがとうが同時に
わきでてきた。
頑固なほどの
私の思い込みを
はずすために
息子は小さい時から
ずーっと
私にとってややこしく
やりにくく
理解できない役を
やり続けてくれたのか…
この子は最高の道を
選んで
堂々としてるのに
私はどれだけ
否定し続けてきたのか。
詫びても詫びても
足りない思いだった。
これでいいんだ。
これは数秒の中での
一瞬、
私の中で起こった事だった。
うまく
説明することも
できないけれど
その瞬間から
私が見える世界が
大きくかわった。
