8話

ある日突然息子が
学校に行った。

前日に、
友達から連絡をもらったのだ。

数日後に迫った
高校最後の体育祭の
最後の練習日だから
でてこない?
というお誘いだった。

演目に使う衣装も手作りで、
それは当日までに私が
作ることにした。

翌日は普通に学校にいった。
楽しそうに帰ってきて、
明日からまた学校に
行くかのようだった。

が…
翌日からはまた
行かない毎日が続いた。

でも、体育祭は
最後だし、
練習もしたし、
衣装もできたし
きっといくはずだから、
その日だけも行けたら…
と思っていた。

最後だから、娘と一緒に
みに行くことにした。

当日の朝、
いつものごとく
息子は起きない。
起こしても起きない。

本人の出番までは
まだまだ先だったので、
私たちは
先にでかけた。

中1から知ってる
友達の子供たちも
大きくなってた。
みんなの成長もみたかったから
嬉しかった。

まさか来ないことは
ないだろうと思ったけれど
まさかのまさか、
息子は来なかった。

またもや、
わずかにしていた
私の期待は
裏切られた。

我が子のいない
最後の体育祭。

最後の体育祭も
でないんだ…
せっかく夜鍋して作った衣装
あの時間と労力!
がっかりさせられること
ばかり。

みたかったな…
友達の中で笑ってる
息子の姿。

最後の体育祭にでない、
それは
息子にとって
さほど大きなことではないようだ。

そのことを知れたことが
私の中では
一番大きかった。