痒みもおさまり、
笑顔も戻ってきた。
アトピーのことで
話がとまっていたが、
長男の赤ちゃん返り、
抱っこ攻撃は
その間もずっと続いていた。
私は、あの時決めたとうり
"抱っこと言われたら
喜んで抱っこする"
そのことを
ただ、やり続けた。
そんな夏休み、
家族旅行にいった時のことだ。
リフトにとって、
小さな山を登った。
降りてくる道は結構長かったので、
私はリフトに乗らず
下の子を抱いて
待つことにした。
普段あまり歩かない長男にとっては
結構な距離だった。
抱っこと言って
夫を困らすかもしれないな…
ちらっとそんなことが
脳裏をかすめた。
なかなか見える範囲に
姿が見えない。
ちゃんと降りてくるだろうか…
抱っこされて
降りてくるのではないか…
そう思ってみていると
しばらくして
長男の姿がみえた。
ひとりで歩いていた。
とーくにいた長男は
私の姿をみつけると
笑顔で
手を振っていた。
その姿が
段々近づいてきた。
今までになく
歩いている!
私のところに近づいてきて
満面の笑みでこう行った。
「僕、歩けた!」
この距離を
当たり前に歩ける子どもは
たくさんいると思う。
なんだ、それくらい
っていうほどの山だ。
でも、
この時の息子は
フルマラソンでも終えたかの如く
何かを超えた顔をしていた。
自分への自信が
溢れていた。
もう大丈夫だ
そう思った。
この子は自分なりに
この道を
歩いておりる、
あきらめない、と
決めたのだろうか…
その日から長男は
一切抱っこ!と
言わなくなった。
