子どものことだけでなく
私の中に
小さなストレスとなって
いることが
もう一つあった。
それは
両親、特に父親だった。
実は私の父は
小さな町医者だった。
何もないところから
母と苦労を共にして
築いてきた小さな医院。
父は真面目で
家でも時間があれば
勉強していた。
夜中でも呼び出されると
往診にも行ったり…
当時の町医者は
動けない人の所には
行ってあげたり、
患者さんにとって身近な存在
だったのだと思う。
誰かのお役にたちたいと
医者をめざした父にとって
薬も西洋医学も
絶対、と信じているものだった。
それがわかっているだけに
父にはできるだけ
今の息子の姿を
みせたくなかった。
病院の薬をやめて、
薬を使わない病院に通い出したり
民間療法を続けたり
医者の父にとっては
みていられなかったのだと思う。
どれほどさっさと薬を塗って
治療をさせたかったかろうと思う。
父が口をだしてこなかったのは
孫とはいえ、
嫁に出た娘の子どもという
遠慮があったからだった。
父の忍耐が
いつまで続くのか…
そのことにいつもドキドキしていた。
早く、いい兆しがみえてほしい
それだけに私の中に
焦る気持ちがいっぱいだった。
