施設にいる母の面会にいきました。


私に「よくきてくれたねー。
寒かったやろー」と、手を握ると

母は「ありがとうございます」という。

面会の部屋に入ると、透明のついたてをはさんでの会話になります。

娘の名前を口にして、元気なのかときいてくるので
「元気だよ」と答えると、また
「ありがとうございます」と手を合わせる。

長男の名前、次男の名前、甥の名前、
姪の名前、姉…順番に1人ずつの名前を言っては、元気かときいてきます。
ひとりずつ元気だよ、と答えるたびに

母は「ありがとうございます」

と、手を合わせて深々と頭をさげるのてす。

思い出せば最近いつもそうでした。
いつも聞かれるのは私の子どものことだけだったのですが、
子どもが元気なのは私が何かしたわけでもないのに、なんでありがとうありがとうとお母さんは言うのかなー…なんて、そんな気持ちで母の言葉をきいていました。

子どもの現状を伝えようとすると、母は、
「そんなことはどうでもいい。
元気でいるならそれでいい」

といって、それ以上のことは聞こうともしませんでした。

そんな日の帰り道、歩きながら
ふと、あーーあれは私に言ってたんじゃないんだと、思いました。

ひとりひとりが元気でいることをきいて、
みえないところで見守ってくれている
存在に対して、ありがとうございます
ありがとうございますと何度も何度も
感謝を伝えて、祈っていてくれたんだ。

そう感じたら、
自分は自由に動けなくなってもまだこうして先に生きる者のことを思って、
さらに大きなところに祈ってくれること
のありがたさが私の中にしみわたってきました。

自分の知らないところで、祈ってくれている誰かがいる。

おかげさまです。
ありがとうございます。