誕生日祝いにと、父が食事に誘ってくれました。
姉がみつけてきてくれた、ちょっとおしゃれな感じのお店。
中に入るとJazzがかかっていて、カウンターだけ、シェフがひとりでやってるフランス料理のお店。
しかも、美味しい♡
幸せな気分になっていると父が言いました。
「あのおっちゃん、ひとりでやってるんか?」
「おっちゃん??」って…誰のことかと思えば…
まさかのシェフのことでした。
この雰囲気の中で、「あのおっちゃん」?(^_^;)
しかもどう考えても父よりは若いです。
この空間の中だと、本人にも聞こえていたかもしれません。これ以上失礼なことを言ったらいけないので
父に注意。
本人は何がいけないのか、全くピンときていません。
その日の帰り道、そういえばこういうこと、前もあったな〜と思い出していました。
相手に聞こえでもしたら失礼だと怒られるかもしれない、無神経な人だと思われるかもしれない、
思ったままのことを口にする父に
何度か遭遇したことがありました。
何に対して私はイライラしてるのだろう…
父が無神経な言葉を使うことに怒ってるのかな?
と思っていたとき
ふと思い出したのは、
父がまだ現役で働いていた頃、小さな診療所の中で、
高齢の患者さんの長話を否定もせず、ただただ穏やかに聴いていた、そんな姿でした。
次に待ってる患者さんもたくさんいたので、
うまくきりあげたらいいのに…と裏でききながら
私は思っていました。
でも、父は、病気とも関係ないようなその方の世間話を普通にきいていたのです。
話がおわるとその方はいいました。
「先生にきいてもらってたら、調子悪かったのももう大丈夫になったわ!薬いらんわ」
家で何も話さず、本を読んでるか、テレビをみてるか、ビールを飲んでるか、あまりかかわりもない記憶しかない父。
診療所を手伝っていたある日にみたその光景は
私にとって大きな衝撃でした。
こうして、いちから母と始めた診療所で毎日毎日
人との関係をコツコツと築きながら、
育ててくれたのだなーと初めて両親に
本当の感謝がわいた時のことです。
そんな父が、
たった一言の言葉で、無神経な口の悪い老人と思われてしまいかねないことが嫌で、
誤解されることから守りたいと思い、父には直してほしいと思っていたのです。
父の本質を知りながら
人からどう思われるか、
みえるところばかりを気にしていたのは
私だったのです。
その時、その場の言葉ひとつで誰かをこんな人だときめつけてしまったり、
嫌いになってしまったり、
そんなことをいろんな場面で、いろんな人に
いっぱいしてきたんだろうなーー。
今度は父が何を言っても、
笑ってられるかな…
ありがとうございます。

