朝いちばんで
行ってきたのは
ここです！
『キャッスル』
パン屋さんです。
今年中に
絶対行って
お礼を言わなければと
思っていたのです。
どうして
そう思ったかと言うと…。
話、
けっこう
長くなります。
お時間ある方は
おつきあいをば。
話は２０年近く前に
さかのぼります。
私の書いた小説
『愛の種。』や
『原宿ガール』
を読んでくださった方は
ご存知かもしれませんが、
私、子供の頃
アイドルや女優に
なりたかったんです。
それはそれは
イタいほど本気でした。
そう思うことが
私にとって
生きることで
そう思うことが
私を支えていた時代が
あったのです。
で、
その頃に
あるオーディションを
受けたことがあって、
そのオーディションが
なかなか厳しいシステム
だったんです。
大手プロダクションが
半年ぐらいかけて
無料でレッスンをしてくれて
でも
必要ないって判断された人は
落とされて行くんです。
私の時は
最初は何十人もいたけど
だんだんと減り、
最後は５人ぐらいに
なっていました。
最後まで残るには
残ったけれど
その年は「該当者なし」
しかし
なかなかの根性だった私は、
あえてわざと
その事務所が放送局と
一緒になって企画した
ラジオのオーディションに、
それからすぐ
しれっと応募。
審査員も別の人だったからか
私にあっていた企画だったのか
合格できたのでした。
最終的に
その事務所に所属したわけじゃ
ないけれど、
合格した後
その事務所の人が
「えっ、なんで君ここに！！」
（しぶとっ…的な）
って驚く顔を見て
やっと自分に
合格点をあげることが
できました。
そうやって
人生まさかのことが
起きたりするので
あきらめたらいかんのです。
という自慢なんだか
説教なんなんだか
わからない
話までしていたら
一冊書いてしまいそうだから
そんな話はこのへんにして…
その
だんだん人数が減る
レッスンオーディション的な
ものに通うのは
本当に楽しかったです。
部活もやったことなければ
友達とみんなで何かする
ということも
得意ではなかった私でも
レッスンで会う友達とは
すぐに仲良くなれて
通うのが楽しみで
しかたありませんでした。
そのレッスンスタジオの
すぐ近くにあったのが
パン屋さんの『キャッスル』
だったのです。
レッスン前に
キャッスルでパンを買って
スタジオのすみで
食べながら、
レッスン仲間と
近況を話したり、
未来にわくわくした
おさえられない気持ちを
語り合ったりしました。
帰りは
大騒ぎしながら
バスに乗って
タレントごっことかしたりして
うるさいうるさい。
ちなみに
レッスンで使っていた
スタジオは
今朝行った時も健在！
そして
もちろん
キャッスルも健在！
今回私は
キャッスルのおじさんに
会いに行ったのでした。
話はまたちょっと
最近に戻りますが…
ここでも少し前に書いた
雑誌Oggiに
小説を書き下ろしたという
お知らせ
覚えてますか？
あのOggiを開いて
江口洋介さんのページを
見た瞬間…
いきなりパッと
２０年近く前の
キャッスルでの出来事が
思い出されたのでした。
それは
こんなことでした。
いつものように
レッスン前に
私がパンを買いに行くと
キャッスルのおじさんが
君はあそこのスタジオに
来ている子？
そう訊いてくれたんです。
はい。
レッスンをしてるんです。
オーディションだから
いつ落とされるか
わからないんだけど。
だから
おじさんのパンを食べるのも
いつ最後になるか
わからないんです。
私は
そんなことを言いました。
おじさんの笑顔にほっとして
思わず本音が出たんだろうなあ。
いつもレッスン仲間と
うるさいぐらい
はしゃいでいたのは
楽しかったのもあったけど
オーディションに
落ちるかもしれない
不安を忘れるためでも
あったんだと思う。
そんな中、
おじさんが
声をかけてくれたことが
すごく嬉しかった。
そして、
おじさんは
私に
確かにこう言ったんです。
ここね。
江口洋介くんも
昔から来るんだよ。
そんなに有名じゃない頃にも
よく来てくれててね。
今はもう大スターだよね。
大丈夫。
あなただって
江口洋介くんみたいに
有名になれるんだからね。
大丈夫。
そう言ってくれたんです。
そのおじさんの「大丈夫」で
不安な気持ちは消え、
しぼみかけていた
私の唯一のとりえでもあった
根拠なき自信が（笑）
復活した瞬間でした。
結局
私は
女優にもアイドルにも
ならなかったし、
江口洋介さんみたいに
有名でもないけれど、
あれから数年して
本気で物書きを目指しはじめ、
こうして
ものを書く仕事に
つくことができた。
そして
私が書いた小説の役を
江口さんが
写真の中で演じられるという
あの頃の私には
想像できなかった未来が
やってきた。
キャッスルには
他にも
すごく有名な方たちが
たくさん行かれているのに
なぜおじさんが
十代の女の子だった私に
男性俳優の「江口洋介」という
名前を出したのかという不思議。
おじさんは
無意識のうちに未来を
ちょっとだけ予感していた！？
とかこうして文字にすると
嘘くさくなるから
これ以上はやめておくけれど
何の意味もなかったなんてことは
絶対にない。
あんな昔のこと
おじさんはとっくに
忘れてしまっているとしても
ちゃんとお礼を言いに行こうと
思ったのでした。
いきなり行って
あれこれ話されても
お仕事や
他のお客さんの邪魔になるかもと
お店が空いていそうな
朝６時過ぎに行くことに。
（キャッスルは朝６時から！）
わーーーーーっ！
あの頃
行くと必ず買っていた
このサンドイッチ！
あったーーーーー！
まったく同じだ！
特にこれの卵トマトのほうが
ふわっとろで大好き！
だからまず先に
キュウリとハムのほうを食べて
後で卵トマトのを食べてたの。
あの頃もあった
有名人のサインも…
続々
更新中の様子！
そうそう
このお店の有名な
シナモンロールはっ？
あれも本当に
よく食べたもんなあ。
「ごめんねー。午後からなの」
奥さんが
すまなそうに教えてくれた。
残念！
いいんですいいんです。
今日はおじさんに
お礼が言えればいいんです！
…と伝えて
おじさんにご挨拶。
やっぱりここは
私にとって
パワースポットだ。
聖者のような
おじさんの顔を見て
思いました。
おじさんのお顔を見ると
不安が消えると同時に
ざわざわしてた心が
すっと静かになるんです。
勇気を出して
２０年前の話をしました。
よかったねえ！
作家さんになったの？
すごいじゃない。
あいかわらずの笑顔で
おじさんは
やさしくそう言ってくれて、
おじさんと奥さんと
昔のことや
これからのこと
色々お話しました。
一応なんだけど
江口さんと
一緒に名前が出ています…
…と
ずうずうしくも
Oggiをお渡ししたら
ふたりとも
真剣に見てくれて
すごく
喜んでくれて、
今度著書を持って行く
約束しました。
朝から生まれたみたいな
すがすがしさそのものな
ご夫婦。
かっこいいです。
シナモンロールがなくって
良かった。
おかげでまた近々
行く用事ができた！
次は午後に来て
絶対買って帰る！
香りとか味とか
今でも
リアルに思い出せる。
キャッスルの
シナモンロールは
ほんとにすっごく美味しいの！
もちろん
他のパンも
うまままままま！
バス待ってる間
我慢できなくて
ひとつ
食べちゃった。
この生地のシリーズ、
シュークリームの
シューみたいに
軽くって
何個も食べられる。
バス停で
パンを食べながら
大丈夫！大丈夫！
大丈夫だからね！
頑張って
今私がいるここまで
来てくださいね。
そう過去の自分に
メッセージを送りました。
そう！
帰りがけ
おじさんが
これを
プレゼントしてくれた。
パネトーネ。
キョトウさんの
体半分ぐらいの
大きさもある
でーっかいパン。
他のお店にもあるけど
うちのが一番美味しい！
照れくさそうに
奥さんがそう言っていて
パンにさらなる魔法が
かかりました。
日持ちするって
聞いたから
大切に食べよう。
ということで、
現在と過去を
行ったりきたりしつつ
ずいぶん長くなりましたが
今日の早朝トリップでした。
そうそう。
キャッスルのご夫婦は
ものすごく肌がつるつるで
きれい。
やっぱり朝６時から
お店を
開けていらっしゃるだけあって
すごく早寝早起き
だからなのかも！？
…と
勝手に私は思っています。
おかげで
ひきづづき
早寝早起きを続ける
勇気までいただけたのでした。
おまけ ↓
首をかしげ
棒立ちで
すましたつもりが
ほっぺたもブクーで
仏頂面。
これ
子供の頃
最高のキメポーズだと思って
完全に間違ってしまってる時の
自分の写真にそっくり。
自分で見て爆笑しました。
やっぱり
懐かしい場所に行くと
身体って一瞬でかわるんだなあ。
昔みたいに
やたら
嬉しそうにピースしてるし。
最近の自分に足りなかった
過去の自分のいいところを
充電できたかも。
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