お経をお唱えするときは、一字、一句を丁寧に、はっきりと発声するようにしています。
お経を聞いても、なんのことだか、何を言っているのか、分からないとすれば、申しわけないのです。
でも、お経をそのままお聞きいただいても、やはり伝わりません。そこで少し工夫をします。以下、お経の聞き取り方についてお話しいたします。
ときどきBS放送を視聴します。映画ではなく、ニュース番組です。英語やフランス語、ドイツ語、イタリア語、中国語、韓国語など各国のことばが聞こえてきます。内容はさっぱり分かりません。画像をみたりして何とか。でも、ときどき馴染みのあることばが聞こえてくるのです。
英語の場合でいうと、トゥモロー、あっ昨日こと! サニー、あっ明日は、あの国のあの地域は晴天になるのだな、とかです。
お経もそうなのです。お経をお唱えする前に、観音経をお唱えします、お経の中には「観音(力)」、「観世音」ということばが繰り返しでてきます。ですから、「観音」「観世音」ということばだけは、耳でキャッチしてください。
般若心経なら、「般若波羅蜜多」です。そこだけは、聞き取ってくださいと、申し上げてから、お唱えするようにしています。
読経の後、お檀家さまにお聞きしたら、ちゃんと聞き取れましたと仰ってくださいます。うれしい!
その後、「かんのん」は漢字で、観察の「観」と、音声、音楽の「音」(おん)であることを確認して、少し「観音」(観世音)という名称の持つ意味についてのお話しいたしました。
今回は、暗闇に閉じ込められた中、目に入る光、耳に聞こえる声、すなわち、神戸や熊本での地震で体験談を題材にしてのお話しでした。
それについてはまた機会があれば、お話しいたします。
ここでは、お経の唱え方、聞き方について少しお話ししました。それを経て、お檀家さまは、ご自身でお経をお唱えしてみようという心を発してくださるのです。