本日のご法事での出来事について、ひとつご紹介いたします。
一周忌のご法要です。参列は、施主さまのお父さま、そして息子さまと娘さまです。娘さまは、身体機能にお病気のあるお方でした。読経中、娘さまはときどき立ち上がったりしていたこともあったようでしたが、概ね機嫌よく過ごしてくださっていました。
読経を始める前にお話しをお聞きしますと、息子さまは、お母さまが亡くなられてから、毎朝出勤前、般若心経をお唱えしています、とのこと。お兄さまがお唱えするお経を、お父さまも、妹さまも聞いていますとのこと。娘さまは、仏壇の座布団の色である紫がお好きで、またお経のリズムが体調にも良いようです。読経中、ときどき立ち上がったのは、お経をもっとよく聞こえるように、との思いですとは、お兄さまの分析です。
本日のご法要では、般若心経をゆっくり三返お唱えしました。
読経の後、お兄さま(息子さま)は、最近、空海・お大師さまの映画をご覧になったとのこと。真言宗の教えというのは、嫌なことがあっても反応しない、無反応であることなのですね、と得意げにお話ししてくだいました。(そこで、苦言がひとつあります。もちろん口に出すことはしません。「嫌なことがあっても、無反応を保つ」ことは、お釈迦さまもおっしゃっていることでもあるのですが、それがすべてだと、素人のお方はお受け取りがちなのです。仏教はかたよりなく学ぶ必要がある、ということです。)息子さまは、これからも読経をつづけますとのこと。『十句観音経』の読誦もお勧めしました。
息子さまは、お坊さんになるには、専門の学校を出なければなれないのでしょう、とも。それに対しては、そんなことはありませんのよ、と即答しました。息子さまの勤務先はお寺に近いとのこと。そこで、私はお坊さまになろうかなとご希望があるなら、是非お話しください、といって、その日はお見送りをいたしました。
本日から、僧侶希望者のお方が二名お寺に見えています、とのこと。
その息子さまも、お気持ちがおありなら、是非仲間に加わっていただきたいものです。 以上です。