「初心忘れるべからず」、「初心にかえる」のその「初心」は、

 

その延長線上において、[なにか]さらに高貴なもの、もっと大きなすばらしいものに発展してこそ、真の初心、原点と言いうるのである。

 

と本書p.29にあります。ですから、初心とは素直な、純粋にして無垢なる、初(うぶ)なこころのみをいうのではなく、“心にこれぞという決めた志”があってしかるべきなのです。

 

仏教では、初発菩提心という表現があります。その初心も、初発菩提心の略として受けとってもいいのかと考えます。とすれば、私たちは、未だに初心さえを起こしていないのかもしれません。初心を発こさぬまま、なんとかここまで来れたものです。(危険極まりないことでした。)でもここらで、初心にかえり、初心を改めて発こすことも大事なのではないでしょうか。