本日は遷堂供養のご法事がありました。「遷堂」は「せんどう」と読み、別な納骨場所にお骨を移動させることをいいます。

 

遷堂されるお方は、お寺の納骨堂に入られて20年ほどになります。今年の1月ご伴侶さまが亡くなられ、あらたに墓所をもうけられたことによる遷堂です。法要の参列は、二人の娘さまとお連れ合いの計四名でした。

 

須弥壇には、お二人のお戒名を記して、あらたに準備された夫婦位牌。以前からあった、お父さまのお位牌は、すでに発遣済みとのこと。そして納骨棚から取りだしたお父さまのご遺骨と、本日自宅からお持ちいただいたお母さまのご遺骨のふたつがならんでいます。

 

ご家族さまにお聞きしました。お父さんとお母さんは仲が良かったですか。お答えは、お父さまは高等学校の数学の先生で厳格なお方だったのですが、お母さまはお父さまに寄り添い、比較的、仲が良かったとのお返事が返ってきました。

 

お母さまとお父さまとは、いまお浄土で、いかがお過ごしでしょうか、とお聞きしました。ご生前ご縁があってご夫婦になられたお二人でも、お浄土では必ずしも、一緒にお過ごしになる、同じ一つの蓮の蓮台に登られているとは、限らないと聞いています。

 

ご性格もそれぞれ、趣味もそれぞれお持ちだったであろうし、つきつめていえば、ご本人同士がそれをお望みであるかどうかです。でも困ったことに、ご本人同士がそれを望まれているとしても、一緒にお過ごしにはなられないケースもあるとも、聞いています。

 

ではどうすればいいのでしょうか。ご生前中に、共通の趣味を持ったりなどして、一緒に楽しむ時間をもつということも大切ですが、心を一つにして、ほとけさまに手を合わせていただくことが何よりも肝要です。そしてご家族さまも、お父さま、お母さまは、いまほとけさまの光明のもと、同じ一つの蓮の蓮台に登られていると心に念じて、手を合わせていただきますようとお願いいたしました。

 

本日よりは、新たに準備された墓所でお二人一緒に埋葬される。さぞお父さまも、お母さまもお喜びですと申しあげて、読経をいたしました。