本日は、10時と12時のご法事があり、午後から護摩供を修しました。

ご法事で檀家さまとお会いするのは楽しく、いろんなお話しがとつぜん飛び出してきます。

 

まずは、12時のご法事のお方のお戒名が「〇〇一乗信士」さまとあり、本年が十七回忌になります。私がお授けしたお戒名です。いまから考えると、何と大胆な、という思いがします。ながいお付き合いです。ここでは「一乗」ということばについて、改めてお話ししました。

 

「一乗」は「乗り物はただ一つ」、『法華経』などに説かれる「一仏乗」のことですが、ここでは「大型バス」にたとえてみました。多くのいろんなお人が乗り合う大型バスです。向かう方向は同じ。でもそれぞれの人が窓から眺める風景は異なる。車内では、楽しく歌う人もいるし、喧嘩する人もいる。

 

大型バスはもっと大きくとらえて、地球(ガイア理論)といってもいいし、また小さく考えて、会社、家族と理解してもいい。

 

そこで、運転手はだれですかと自問自答して、仏教が運営する大型バスならお釈迦さま。でもアクセル、ブレーキ、またはハンドルは各自が、そして皆でコントロールすることもできます。また途中下車する人はいるのですかという疑問が生じて、考えに行き詰まり、たとえを「一台のバス」から「ひとつの病院」に変更しました。

 

この世は娑婆(しゃば)という名の総合病院。十二支縁起説を理解し易く考慮した、苦・集・滅・道の四聖諦の教えは、病を治す術に類しています。ですから、「大医王」(無上最勝医王)という用例もあります。「総合病院」ですから、いろんな診療科目が用意されています。なるほど。では極楽などのお浄土はどうですか、といえば、それは、そこでの院長さまには得意分野があり、それぞれの科目に特化した専門病院ということになるでしょうか。

 

そこで先の「途中下車する人はいるのですか」という質問ですが、いいかえて、「早期退院するひと」はいます、となります。それはブッダ、お釈迦さまです。でもお釈迦さまはいま現在も名誉院長としてご勤務なされていらっしゃいますから、ご安心して治療をつづけることができます。

 

さて、十七回忌をむかえられた故人さまは、もうすっかり病が癒えたころでしょうか。そこで(ご先祖さまへとなり)「ご退院」することになるのかしら、あるいは再びこの「総合病院」に、でもそのときは患者ではなく、勤務する医師のひとりとして戻られ「ご退職」をむかえることになるのでしょうか。こんなお軽い内容のお話しでした。 笑