仏典に用いられる用語は、なかなか理解が難しく、そして多くあります。私たち僧侶も改めて説明しようとすると考え込んでしまします。そこでひとつひとつ、辞典等を参照にします。ここでは「神変」(じんべん/じんぺん)と「加持」(かじ)について、『望月仏教大辞典』の記述を頼りに簡潔に説明してみましょう。

 

神変について 神変は、仏・菩薩等が衆生(しゅじょう)教化(きょうけ)のために、その身上に示現する種々不可思議の変異をいいます。用例は『長(じょう)阿含経』第一等にもあり、大乗経典『大宝積(ほうしゃく)経』巻八十六に「我れ、三種の神変を以て衆生を調伏(ちょうぶく)す。一には説法、二には教誡(きょうかい)、三には神通なり」とあります。弘法大師空海『大日経開題(法界浄心)』は、『大日経疏』の説に基づき、神変を四種に分析しています。「(神変は)すなわち是れ心(「大慈大定」)の業用なり。始終知り難く(中略)唯だ佛のみ能く知り能く作すが故に(大日の神変は)大神変という。この神変無量無辺なり、大に分って四と為す。一に下転神変、二に上転神変、三に亦上亦下、四に非上非下なり。」『大日経開題(法界浄心)』

 

加持について

「梵語adhiṣṭhānaの訳。「立つ」の義なる動詞語根√sthāに前接字adhiを付加して成れる名詞にして、側に立つこと、または住処等の義を有し、転じて加護の義に用いらる。故に古くは「所持」「護念」等と翻ぜり」とあります。『法華経』第五安楽行品「この経は是れ一切の過去未来現在諸仏の神力所護の故に」、『新華厳経』第六「仏の加持する所は辺(辺際、限り、の意)あること無し」等の用例が挙げられています。そして、真言密教においては、特殊な解釈を施す、と注意されています。 

 

まずは以上です。

本日は土曜日なので、午後から檀務の予定があります。

二月に入りました。皆さま、お風邪などを召しませんように。

 

(追伸)

三昧にある仏さまは、いろんな奇瑞を私たちに示しくださっています。それが「神変」。そして、いま目のまえにあるものに「加護」が加わり、聖化されます。その働きが即事而真となります。