忍耐の持つ3つの側面

 

『入菩薩行論』法話会 初日(ダライラマ法王14世公式ウェブサイト[2022年7月28日])に、チベットには次のような二つの諺があるということが書かれていました。そのひとつは、

 

“温かい心により幸福と成功に至る”

 

「温かい心」とは、「やさしさと思いやり」をいいます。「他者に対して温かい心で接することができれば、幸せな人生を送ることができ」、そして「より快適で安らかな気持ちで死を迎えることができる」ということです。

 

二つめは、

 

“いわゆる敵と呼ばれる者は、あなたの最高の教師になることができる”

 

これは、(どんな相手に対しても)「憎しみや復讐心を抱かないように」、「「妨げをなすものたちに対して慈悲の気持ちを育むこと」の大切さ、すなわち「誰かがあなたを傷つけても怒らず自制するということ(それは、忍耐の持つ3つの側面のひとつ)を諭し、「温かい心、許す心が幸せの根源だということ」を教えています。

 

まとめれば、「愛と思いやりの実践こそが心の平穏と幸せの源であり、怒りや嫉妬という否定的で、破壊的な感情の欠点、すなわち、煩悩を諌める手立て」となるということです。

 

先日の配信[釈尊の行状より 文殊師利大乗仏教会さま2024/12/31]にて、「さとりを開くためには、どんなに慈悲深き心を有していようとも、またどんなに勝れた知性をそなえていようとも、努力することがなければ決して仏にはなれない」という考えをご紹介いたしました。その意味は、

 

「本物の慈悲の心を体験するためには、苦しみついて知り、苦しみは断滅することができるということを理解しなければなりません。そして悟りに至るには、慈悲の心、菩提心、空を理解する智慧が必要なのです」

 

というきまり(理わり)によれば「努力すること」とは、「苦行」というよりも、「菩提心(を発こし、それを保ち、育むこと)」、とくには、「菩提心を発こす重要なファクターとなる忍耐(誓願)」であると理解できるようです。そして「悟りを得るためには、修行道の方便の側面である菩提心と、修行道の智慧の側面である空性の理解を組み合わせる必要があります。」ともあるように、慈悲の心、菩提心は、ともに修行道の方便の側面であることになります。「忍耐の持つ3つの側面」のうち、後の二つは、「トラブルに直面した時の忍耐」であり、「究極のもののありよう(真如)についての洞察を深めるための忍耐」(「無生法忍」のことをいうのかしら)をいいます。

 

この配信は以下の、ダライラマ法王14世公式ウェブサイトから学んだことの一部の忘備録です。

 

 

『入菩薩行論』法話会 初日2017年7月28日

『入菩薩行論』法話会 2日目2017年7月29日

『入菩薩行論』法話会 初日2022年7月28日

『入菩薩行論』法話会 2日目2022年7月29日