四十八軽戒[24]怖勝順劣戒
【呼称の異同】不習学仏戒、背大向小戒、不専異学戒、怖勝順劣戒、習学異道戒、捨真集偽戒、[不得背正向邪戒]
【概要】大乗以外の仏教や異教徒の教えを学んで大乗に対する妨げを作ってはならぬ。
【本文】若仏子、佛の経律、大乗の正法(ショウボウ)・正見・正性(ショウショウ)・正法身あらんに、しかも勤学(ゴンガク)・修習(シュジュ)するあたはず。しかも七宝(のごとき大乗)を捨てて、反って邪見の、二乗・外道・俗典・阿毘曇(アビドン)・雑論(ゾウロン)・書記(書と記)を学するは、これ佛性を断じ、道を障(ササ)ふる因縁なり。菩薩道を行ずるものにあらず。もし故らに作さば、軽垢罪を犯す。
【諺詮】怖勝順劣戒第二十四<勝を怖れて、劣に順ずることを戒しむるなり。> 大乗菩薩の経律を学することあたわずして、反って二乗と外道との法を習い、あるいは世俗の詩文<今の連歌、俳諧の類、皆この内なり>を好み、あるいは書跡<物を書くことをいう>を耽学し、あるいは筭数を習う等の事に執著することを制す。前の[8]背正向邪戒は大乗を謗ずるを制す。この戒は、大乗を学することあたわざるを制するを、異とす。[開縁]化他のためにしばらく学すると、広学のためにすると、他に同(ドウ)じて引入すると、外道を伏(ブク)せんがために学すると、皆大乗に於いて動転することなくば、一日を三分にして、はじめの二分は仏教を学し、後の一分は外(ゲ)を学するに違犯(イボン)なし。もし小乗を撥無して学せざるをば『瑜伽』に制して軽罪とす。[通局]七衆、同じく制す。
【現代的解釈例】<勉学について>縁あって僧侶となれたのに、七宝にもたとえられる大乗の法を捨て、他の趣味に走ることを制する。「仏性を断じ、道を障ふる(さとりを開くことを妨げる)因縁なり」という。僧侶は趣味を持たない方がよいとのことであるが、私の先生は、仏教だけを学んでいてはいけないよ、絵画などの芸術に対するするどい感性や、異なった学問分野とのお方とも交流がもてるだけの知識を有しておくことが大事と教えてくださいました。 合掌