【呼称の異同】恃勢乞求戒、恃勢求財戒、依官強乞戒、不横乞求戒、依勢悪求戒、悪求戒、不得依勢乞求戒

【概要】利欲を貪ろうとして国王や官僚の権利を笠に着るような行いをしてはならぬ。

 

【本文】若(ナンジ)佛子、自ら飲食(オンジキ)・銭物(センモツ)・利養・名誉の爲の故に、国王・王子・大臣・百官に親近(シンゴン)して、恃(タノ)みて形勢(ギョウセイ)を作し、乞索(コッサク)し、打拍(チョウハク)・牽挽(ケンメン)して、横(ヨコシマ)に銭物を取り、一切に利を求むるを、名づけて悪求(アクグ)・多求となす。他人を教へて求めしめ、都(ス)べて慈心なく、孝順心なくば、軽垢罪を犯す。

 

【諺詮】依勢(エセイ)求(アクグ)戒第十七<勢いを恃んで悪しざまに求むることを戒しむるなり> 飲食・財物・利養(リヨウ)・名誉(ミョウヨ)のために、国王・大臣・武家・代官等に近づき、その威勢を仮って、無理に乞求・打擲し、縛りなどして、人の財宝を貪(ムサボ)り取ることを制す。[結犯]悪心を起し、慈悲心、孝順心なければ犯(ボン)す。悪求の悪の字に意を著くべし。[開縁]もし仏法僧物を盗せる者あらんに、善心を以って権威を恃んでその物を奪いて、本の処(トコロ)に還すは犯なし。[通局]七衆、同じく制す。

 

【現代的解釈例】自利のために権勢をたのんで、財物などを強要することを制したもの。お檀家の中には、社会的地位の高いお方もいらっしゃいます。『法華経』「安楽行品」にも指摘されるように、権勢あるお方とのお付き合いには充分注意すべきである。財物などをその他一切の利を強要する姿勢は、波羅夷罪である盗罪に触れる可能性があることに注意が必要。また慈心、孝順心は『梵網経』におけるキーワードの一つです。悪求は貪り取ること、多求は求め得ても厭きることなく、さらに求めることをいいます。

 

これから本日午後のお勤めです。日曜日ですから、午前中にもご法事がありました。合掌