昨日配信いたしました如意宝珠の色に関する記事は、とても多くのお方にお読みいただき、とてもうれしく感じています。でも「いい事ばかりはありゃしねえ」(忌野清志郎)にある通り、あまり調子に乗らないように、そして配信いたします内容については決して間違いがないよう十分に気を付けなければと、ほんとに身が縮むほど怖くなりました。(入力ミスはときどきします。発見次第、こっそりと訂正しています。)

 

如意宝珠については、以下の「奈良国立博物館」による記事「仏舎利と宝珠―釈迦を慕う心―」がひとつの標準となるかと考えます。(少し文章を短くしました)

 

舎利(しゃり)は仏教の開祖、釈迦(ゴータマ・シッダルタ)の遺骨のことで、釈迦を偲ぶ縁(よすが)として篤く信仰されました。荼毘(だび)にふされた仏舎利は美しく飾った容器に納められ、ストゥーパ(塔)に埋納されました。仏舎利への信仰は仏教のさまざまな信仰のなかでも、もっとも古いもののひとつなのです。

 仏教の伝播にともない、舎利信仰は中国、韓国、日本へと伝わりました。インドの伝統に法(のっと)り、日本でも古代寺院では塔に舎利が安置されましたが、平安時代のはじめに密教が伝えられ、舎利信仰に大きな転機が訪れました。修法(加持祈祷の法)の本尊に仏舎利をむかえ、国家安泰(こっかあんたい)、玉体安穏(ぎょくたいあんのん)、五穀豊穣(ごこくほうじょう)などが祈願されました。舎利は人々に現世利益をもたらす霊験の強い存在と認識されるようになったのです。

 やがて、舎利はあらゆる願いをかなえる不思議な珠、如意宝珠(にょいほうじゅ。cintāmai【筆者補】仏教辞典類では「にょいほうしゅ」と濁らないようです)、摩尼宝珠(まにmaṇiほうじゅ)と見なされるようになりました。仏舎利の霊験の強さが如意宝珠と同体であるという発想を生んだのでしょう。宝珠は如意輪観音が手にし、愛染明王像の宝瓶座(ほうびょうざ)の中につまっているなど、様々な仏と密接な関連を有しています。宝珠との結びつきにより、仏舎利はこのような仏たちとも関連を深め、日本の舎利信仰は独自の展開を見せるようになりました。複雑な信仰を反映して、日本の舎利容器は宝塔形、五輪塔形、宝珠形などいくつもの形式が現れました。 

本展は、舎利荘厳美術の至宝を一堂に集め、華麗に展開した舎利信仰の様々な姿をご覧頂くものです。釈迦への想いが結晶した美の世界をご鑑賞ください。海外からの出陳作品には、松林寺磚塔納置舎利容器(韓国・国立慶州博物館)、慶州羅原里五層石塔出土舎利容器(韓国・国立中央博物館)など、わが国で初めて公開される作品があります。

画像は、韓国宝物 松林寺五層磚塔納置金銅舎利容器(韓国・国立慶州博物館)

 

その際には、

平成13年(200184日(土) 舎利をこめた密教法具について
阪田宗彦氏 大谷女子大学教授

平成13年(2001825日(土) 仏舎利と宝珠を取り巻く人々とパワー
ブライアン・D・ルパート氏 米国・イリノイ大学助教授

平成13年(200191日(土) 仏舎利から宝珠へ-密教における舎利信仰- 内藤 榮 当館工芸室長

と題して、公演が行われようです。

 

学術的な論文として、

 

苫米地誠一先生の「日本密教における舎利と宝珠」『高野山大学密教文化研究所紀要』密教文化研究所 (30) 2017

 

などがあり、これから読んでみたいと思います。 合掌