四十八軽戒[4]食五辛戒

【呼称の異同】食五辛戒、不食辛戒、五辛戒、不得食五辛戒

【概要】野菜であっても決して五辛(にんにく、にら、葱の類い)を食してはならぬ。

 

【本文】若じ佛子、五辛を食(ジキ)することを得ざれ。大蒜(ダイサン/オオニンニク)と茖葱(カンソウ/オオニラ)と慈葱(ジソウ/ネギ)と闌葱(ランソウ/ニンニク)と興蕖(コウゴ/インドに産するにんにくの一種)となり。この五種、一切の食の中に食することを得ざれ。もし故らに食せば、軽垢罪を犯ず。

 

【諺詮】食五辛(ジキゴシン)戒第四<五辛を食うことを戒しむるなり。>

大蒜(タイサン/ニンニク)・茖葱(カクソウ/ノビル)・韮(キウ/ニラ)・葱(ソウ)・胡葱(アサツキ)などの辛く臭き物を食することを制す。この類(ルイ)は、生(ナマ)にて食(ジキ)すれば瞋を増し、煮て服すれば婬を発(オコ)す。已に貪瞋の二毒を起す。諸々の悪、何ぞ起らざらん。況や五辛を食う人は、たとえよく一代聖教を解説(ゲセツ)すれども、諸天は臭く穢しきを嫌って捨離し、一切の鬼神その唇を舐(ナブ)る。常に鬼と共に住す。福徳日々に銷して、長く利益なし。この人はたとえ三摩地を修(シュ)すれども、天神の守護なく、大力の魔王、仏と作って、来たってために法を説いて、三毒を讃め、禁戒を毀る。命終っては魔の眷属と成る。魔道の命終って無間獄に堕す。<已上、楞厳の意> また五辛を食すれば、真言を念誦するに成就せず。真言行者と名づけず。<已上、蘇悉地経、蘇婆呼童子経の意> 顕密の行者、受用すべからざること、かくの如し。しかるを今時(コンジ)の高僧、専ら受用せらる、あさましきことなり。

[結犯]咽に入る位に犯す。 [開縁]もし五辛ならで治(ジ)せられざる病あらば、伽藍の外(ホカ)の俗人の家にして食(ジキ)しおわってより四十九日を経て後、香湯を以て澡浴し竟って、経論を読誦すべし。[通局]七衆、同じく制す。

 

【現代的解釈例】<飲食関連>[4]食五辛戒 (本文は、いい加減に解釈してはいけないが、本文にはそのようにあることをよく知ったうえで、ここでは)匂いの強い食事には気を付ける。特にご法事やお葬儀など檀務の予定がある日などは摂取しない、と解釈を施しておきます。(どのように受けとめるかは、皆さまそれぞれのお立場での判断に委ねます。)