四十八軽戒[3]食肉戒
【呼称の異同】食肉戒、不食肉戒、不得食肉戒
【概要】肉を食してはならぬ。
【本文】若じ佛子、故らに肉を食(ジキ)せんや。一切の肉を食することを得ざれ。大慈悲の性の種子を断ち、一切衆生は見て、捨て去らん。この故に一切の菩薩は、一切衆生の肉を食することを得ざれ。肉を食せば、無量の罪を得ん。もし故らに食せば、軽垢罪を犯ず。
【諺詮】食肉(ジキニク)戒第三<肉を食うことを戒しむるなり。>
一切の有情の肉を食するを制す。それ肉を食(クラ)う者は大慈悲の種を断つ、一切衆生、生生(ショウジョウ)世世(セイセイ)に六親眷属と成るが故に。肉はこれ不浄なるが故に、衆生、その人(= 肉を食する人の)の香を聞(カイ)て怖れを成すが故に、狗見て驚き吠えるが故に、一切の呪術験(シルシ)なきが故に、諸天善神に棄てらるるが故に、夜悪夢多きが故に、他の信心を冷ますが故に、過去に悪羅刹・師子・虎・狼・猫・狸等たりし習気の故に、わが命(イノチ)を惜しむが如く、一切衆生も命を惜しむが故に、非人悪鬼常につき随うが故に、死しては必ず師子・虎・狼・鵰(ジョウ/クマタカ)・鷲等の悪鳥悪獣と成り、悪鬼の身を受くるが故に、殺生の本なるが故に、かくの如く種々の過失あるが故に、食すべからず。<『楞伽経』等の意> また『楞厳経(リョウゴンギョウ)』に糸綿絹帛靴履裘(キウ/カワゴロモ)毳等を制したまうも、皆な衆生を殺害して造れる物なる故なり。制意、食(ジキ)肉と同じ。
[結犯]咽(ノンド)に入る位に犯す。[開縁]もし怨敵あって強逼して口に入れんに、貪嗜の心なくば犯なかるべし。[通局]七衆、同じく制す。
【現代的解釈例】<飲食関連>[3]食肉戒 「七衆、同じく制す」とある通り、食肉は僧俗問わず禁止とある。(ここでは文献の共有を旨として、考察等は行わない方針で進めているのですが、ひとこと申し上げます。食肉の禁止とされるのは大乗仏教になってからのようです。また三種の浄肉という決まりや、食事を摂る際の仏教徒の意識の持ち方、食時作法など学ぶべきことがたくさんあります。)自らすすんでお肉料理を求めることを制する、とでも受けとめておきましょう。お魚料理も同じ。生業としているお方には申し訳ありませんが、僧侶であれば、レストランや飲食、酒類を提供する店舗には必要以上に出入りしないよう努める。