昨夜のお通夜も考えることの多いお勤めでした。53歳の女性のお方がお亡くなり。ご伴侶さまは地方に単身赴任。病弱だったとのことですが、入院して五日目でのご逝去。しかも、入院されるその一週間ほど前には、その女性のお父さまがご逝去になられているとのこと。
ご伴侶さまは地方に単身赴任して二年ほど。今回の奥さまのお父さまのお葬儀のため、いったん千葉に戻ってこられたのですが、赴任先に戻る前に、奥さまが体調をくずされ、入院となったので、赴任先に戻ることなく、今夜のお通夜となったということです。お通夜には、お母さま、そして弟さま、そしてご伴侶さま、そのお母さま、両家のご親族さまのご参列でした。
お勤めの後、少しお話しをしました。皆さまの中には、お父さまが娘さまを連れて逝かれたのかしらと、お考えになられるお方もおられるかと思われますので、ひとこと申しあげます。そんなことは、決してないです。ではなぜお父さまにつづいて急になのですか。奥さまは少し病弱であったこと、またはお父さまのご逝去で身体的にも、気持ちのうえでもお疲れがあったのかも知れませんが、なぜか問うても、それは分からないことなのです。「不可思議」ということばがありますが、私たちの思議、理解が可能な、考えの及びところではないという意味です。
でも、はっきりと分かっていることがあります。それは奥さま、お母さまにとっては「娘さま」、弟さまにとっては「お姉さま」の生縁が尽き、ご逝去されたということです。ですから、いま私たちにできることは、明日のお葬儀にそなえて、奥さま、娘さま、お姉さまと過ごされた日々を振り返っていただきながら、ご縁があったことに感謝の気持ちを深め、明日安心してお浄土に向かっていただけるよう願い、準備をしていただくことなのです。これからは、ご供養を通してではありますが、奥さまとの関係を深めていただきますようお願いいたします。しばらくして、ご伴侶さまは赴任地にお戻りいただくことになります。どうか、ご心配なく、お仕事に励んでいただけますよう、明日もお勤めいたします。満中陰は年内となりますが、お仕事のご都合のよい日時をお知らせください。
そんなお話しです。「不可思議」を考えてみれば、いま私たちがいきていることも不思議なことなのです。私たちの周りには「死の条件(死縁)」が実にたくさんあるといいます。多くのご縁に支えていただいて、いまを生きている。そして死も「不可思議」。亡くなったお方とのご関係をより深めること、それは私たち生きている者のなすべきことの一つとしてあるのです。
お通夜読経の後には、ローズ The Rose がオルガンで演奏されていました。
合掌