お二人一緒のご法要「二法要」

 

ときどき複数のお方のご供養を同時にお勤めすることがあります。たとえば、おばあちゃんの十三回忌と、おじいさんの七回忌を一緒に行うというように、です。おじいさんの七回忌は来年ですけれど、おじいちゃんは許してくださいますかね、というご質問もよくあることです。そのときは、ひとつの法要(読経時間内に)お二人同時に供養することになります。それを私たち僧侶では、「二法要」(にほうよう)のご法事と呼んでいます。(小声で、お布施は如何程にとはお聞きにならないでくださいませ。少し割引とさせていただいております。)また会社関係物故者のご供養など、それ以上の多くのお方を一緒にという場合は「合同供養」の形式となり、たとえば春秋のお彼岸、お盆などの大法要もその例となります。

 

さて昨日は、以前お話ししたことと関連があることなのですが、息子さまの十三回忌とお父さまの満中陰の法要を一緒にお勤めをいたしました。お父さまの満中陰の日程を少し早めていただいてのご法事です。

 

この場合は、お二人のご供養を同時に行うことはできません。まず息子さまのご廻向を行い、その後で、お父さまのご供養となります。お焼香も息子さまの場合は、そのご伴侶さま、そのお子さまを先として、お母さま、長男さまの順序。お父さまのご供養のときは、まずはお母さま、長男さま、そしてお亡くなりの次男さまのご伴侶さま、お子さまの順序といたしました。

 

ご法事の前後、その順番について、皆さま方は、おそらく後のお方に重きをおいてのことなのかなとお考えになるかもしれませんね。たとえば、食事の場合のように、まずは前菜、そしてメインディッシュというように。でもご法要の場合は、その前後に重きの差はないのです。息子さまのご供養は、ただただ息子さまの追善を願って精一杯勤めさせていただき、その後のお父さまのご供養は、お父さまのご生前のご功績に思いを深め、お浄土にむかえていただけることを願って行なうということだけなのです。ご家族さまにもそのことをよくお話しして、きちんと理解していただいたうえで読経を始めました。

 

家族さまも安心してお帰りされたようです。お父さまのご納骨は来年一周忌のこととなります。