インスリンとカルシウムの仕事

 

人間は、食べ物から取り入れた栄養分をエネルギーに変えて生きています。

重要なエネルギー源は糖分です。
その糖の代謝に大きくかかわっているのがインスリンというホルモンです。
 
インスリンは食後に血糖値が上がると、膵臓から出てきて、血液中に流れているブドウ糖を細胞に取り込むように命令を出します。そして、細胞内でブドウ糖を分解して、エネルギーに変えています。
 
糖尿病にかかった人は、このインスリンが正常に分泌されないから、ブドウ糖を細胞内に取り込めなくなり、体中の細胞はエネルギーが足りなくなります。結果、血液の中はブドウ糖でいっぱいになってしまいます。
 
血液中の糖分が多くなってしまうと、血液が粘ついてしまい、酸素や栄養が体のすみずみに行き渡らなくなるばかりか、血管にも問題が起こりはじめる。
そしてその結果、三大合併症(神経障害、網膜症、腎症)をはじめ、体内の臓器にいろいろと障害が起こります。
 
糖尿病の原因はインスリン不足ですが、その原因はさまざまです。
 
カルシウムは血中の糖分量の増減を敏感に感じ取り、それを膵臓に伝えてインスリンの分泌を調整する働きをしています。
 
中でも、カルシウムの伝達機能が低下することで起こる糖尿病を『インスリン非依存型糖尿病』といい、生活習慣病と呼ばれる糖尿病は、これに当たります。
 
カルシウムの伝達が正常に働くためには、血液中と細胞内のカルシウム濃度が「10,000::1」に保たれていることが必須条件です。
 
このバランスが崩れてしまうと、カルシウムは「血糖値が上昇しました」という情報をうまく膵臓に届けられなくなってしまい、インスリンの分泌に支障をきたしてしまいます。
 
カルシウム不足により、血糖値が上昇したことを伝えるためのカルシウム伝達機能に支障が生じてしまい、これが長く続くと糖尿病の発症を招く結果となります。